冬の投げキッス

部活が休みの帰り道、友人と二人並んでダベりながら歩いていたら顧問の先生に呼び止められた。簡単な連絡事項を連絡網で回すよう指示されてから会釈をし、別れを告げる。

めんどくさいなぁと思いながら待たせていた友人に声をかけようと振り向けば、何故か上を見上げて手を振っていた。目線を追って上を見やれば、校舎の二階から後輩が手を振っている。俺も同じように振り返して教室に引っ込んだのを見届けた後、隣の友人を見ればなにやらとってもいい笑顔。


「どした?」

「投げキッス貰った」

「…は?」


にこにこ
にこにこ


笑う友人とそれを驚愕の顔で見る俺。通りすぎる人が不審そうにこちらを見ている。


え?あれ?お前らいつの間にそんな関係に?


戸惑う俺に気付かず友人は軽く握りしめた拳をこちらに向けた。


「2つくれたからお前にも1つやるよ」

「え?」


どうやって!?と思いながらも差し出された手の下に掌をやる。


「……○ルティキス?」

「あぁ」


広げた掌に落とされたのは白いビニールに包まれたチョコレート。

成る程、これをあの後輩が投げて寄越したから投げキッス、と。



「………」

「あだっ!?」


無言でスパーンと頭を叩いて校門へ向かう。後ろからなぜ打たれたのかわからない友人がハテナを飛ばしながらもなにすんだ!と軽く蹴りつけてきた。
うるせぇ知らん!と蹴り返し互いに文句を言い合いながら帰った。





冬の投げキッス

驚かすんなバカ野郎!



「あ?甘いの嫌いだっけ?」
「そこじゃねぇよアホ!」









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