噛みつくようなキス。
破る勢いで脱がされる服。
ああ、また。

「我愛羅、おちついて!」
「ナマエ…っ!!」

私の肌に触れる彼の手は乱暴なのに、その表情は今にも泣き出しそう。
そんな目をされたら、やめてなんて言えなくなってしまう。

木の葉の少年と出会って、我愛羅は変わった。
自ら周囲に歩み寄り、人を愛することを知った。
そんな彼が、私を好いていると伝えてくれたとき、どれほど嬉しかったことか。
以来我愛羅は、これ以上ないくらい私に愛を伝えてくれる。
どこまでも純粋で、愛情深い人。

しかし、里の人々の我愛羅に対する視線は、未だに冷たい。
もちろん、そんなに簡単に理解してもらえるとは私も彼も思っていない。
少しずつでいい、毎日少しずつでも。

それでも、人々の心無い言葉や態度は、彼の純粋な心を傷つける。

「ナマエ…っ、俺には、お前だけなんだ…!!」

苦しげに私を見下ろしながら、絞り出すような声で我愛羅は言った。
正規部隊での任務で、何かあったのだろうか。
強い力で捕まれた胸が痛い。
我愛羅はすっかり普段の冷静さを失っていた。

「大丈夫、我愛羅。大丈夫だよ」

両手で頬を包み、しっかりと目を合わせて、あやすように静かに伝える。

「っ、ナマエ」
「我愛羅、愛してる。誰よりも」

だから安心して。
青磁色の瞳を見つめながらそう言うと、みるみるうちに涙が溜まっていく。
頬に流れ落ちた雫を拭い去ると、強い力で勢いよく抱きしめられる。

「ナマエ…ナマエ、ナマエナマエナマエ」

何度も何度も私の名前を呼ぶ我愛羅。
抱きしめる力が強すぎて、息ができない。
でも、こうしていないと、彼はいつかまた壊れてしまうのだろう。
愛の重さを感じると共に、じわじわと滲み出す優越感。
我愛羅が本当に辛い時、助けてあげられるのは私だけなんだ。
テマリさんやカンクロウさんでも、木の葉の少年でもない。
他の誰でもない、私なんだ。

「捨てないで、ナマエ……」

捨てないよ。捨てられるわけないじゃない。


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