※現パロ
※死ネタ




切り捨てられるのが、僕達で。
切り捨てるのは、あなただったはず。

濁った瞳と、白い肌が。
それでもあなたは美しいから。



彼は開き直った。
「まあ、あれだ。どっちも愛してる。」
「分け隔てなく?」
「分け隔てなく。」
一度に二人、全く同じ量の愛でもって愛せるものなのか。
ぱっと見は凄く地味で、クラスに一人は居そうな暗い子といった様の男の子。
今は目を伏せて、じっと土方さんの話に耳を澄ませている。
苦手なタイプ。
彼と、僕と。
土方さんはどっちも愛しているらしい。

「選んで下さい。」

簡単なニ択だ。
彼をとるか、僕をとるか。

時間を、と言った。
随分と静かな修羅場だったと思いながら仕方なしに帰り支度。

斎藤、と呼ばれた男の子は別れ際に言った。
「あんたみたいな浮ついた人間を見るのは不快だ。」
とりあえず笑っておいた。






入浴中に溺れたならば、服を着ているのはおかしいだろう。
バスタブに沈む土方さん。
目はあいている。
眼球は濁っているけれど。

「綺麗だなあ。」
冷え切った水の中に躊躇わずに腕を突っ込んで、頬を撫でる。
そのまますくいあげて、色の失せた唇に口付けた。
くたり、と脱力したままの身体に水滴が落ちて、
ああ泣けた。
と安心した。

どさり、と何かが落ちた音。
見れば斎藤くんが呆然とたちつくしている。
鞄が力を失って床に這いつくばっていた。
「あんたが、やったのか?」
「違うよ。」
「そうか。」
ゆっくりと、足が濡れるのも構わず近づいてきたかと思えばふと顔をしかめた。
足の裏に白い錠剤が張り付いている。
一面に散らばっているそれは、
「睡眠導入剤だね。」
排水口の上に転がっている瓶を拾い上げて、斎藤くんに渡してあげる。
「そうだな。」
「ねえ、どうする?」
しゃがんだまま、見上げて訪ねた。
「…。」
「どうしよう。」
「どうしたい?」
「え…」
「どう、したい。」
それでやっと気づいた。
彼と僕は、よく似ていた。
色の違う、とてもよく似たもの。
「どうしよっか?」

僕と君で、二人で決めよう。









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