★

「跡部様〜!!!」

「忍足く〜〜〜ん!!!」

「がっくんかわいーーーー!!!}


今日も氷帝学園テニス部は黄色い声援が木霊する。

(ふふ。宍戸を応援する声はなさそう)

200人を超える部員がいる部活動であり、なおかつ端麗な容姿の集団だ。
フェンスの向こう側の応援だけでも軽く30人はいる。

中にも大人しく見てる子もいるが
きっと友だちの付添いや目の保養などといった理由であろう。

ふむふむと部員そっちのけでフェンスの向こう側を観察していると、足音が近づいてきた。



「おい、マネージャー。もうすぐ終わるから、部員のドリンク用意しておけ」

そう私に言い放つのは、声援が最も多い、部長の跡部景吾である。

「はーい。すぐ準備する」



私だけで充分



「しーしーど。」

部活終わりに意中の相手、爽やかイケメンこと宍戸亮にちょっかいをかけるのが私の日課である。

「なんだよ、みょうじ。」

「宍戸ってモテないんだね!」

ししし、と笑いながら
先ほど目にした情報を本人に伝える。
(性格悪いとか言わないで!)

「うっせ。」

そう短く返事をする宍戸の隣で伊達眼鏡くそ野郎こと忍足侑士が加わってくる。


「違うで、みょうじ。
 宍戸はモテないんやない。
 この部活の中で2番か3番を争うほど告白されとるんやで」

知らんかったん?と、伊達眼鏡くs(略)が私の顔を覗き込みながら言う。


「え?うそだよ。うそうそ!冗談は眼鏡だけにして!」

バシバシ、と伊達眼(略)の肩を叩く。


「ごほっごほっ(力強すぎるでホンマ)
 嘘ちゃうで!
 1番モテんのは一目瞭然。跡部やろ?
 次点で俺か宍戸っちゅーわけや!」

どや!と言わんばかりにのけ反る眼鏡。

「じゃああの声援はなんなのさ!!!!」


声援…?とボヤキながら考えるポーズをする忍足。

「あぁ!宍戸のファンみんな大人しい子やからなぁ。
 いつも応援してくれとる子たちの中で黙ーって見てる子おるやろ?
 その子達全員といっていいほど宍戸のこと好きな子やで!
 宍戸に似て地味子ばっかりや!」







誰が地味子だと?くそ眼鏡が

 え てか無理なんだけど!
 ライバルいないと思ったらこういう事か〜〜〜〜…

 むりむりむりむり!!!!!
 え?だって宍戸だよ?なんでなんで〜え〜」

ブツクサ言う私に眼鏡が


「え?何 みょうじ。宍戸のこと好きやったんか?」

と。

「当たり前なこと言うなよ馬鹿眼鏡が。
 てめぇは本当に頭の悪い眼鏡だな。
 私が宍戸への思いを募らせて募らせて
 小さい努力をしてきたのがわかんないのか」




くそ眼鏡。と言おうとしたとき、

腕を引っ張られて連行された。



宍戸に。






人気のない部室の後ろの木の陰へ連れていかれ、宍戸が口を開く。


「お前なぁ。
 あんな大勢の奴等がいる前で堂々と言うなよ」

「本当のことだもん」

あぁそうだ。本当の事なのだ。
忍足と同じくらい告白されたことがあるなんて事実…溜まったもんじゃない!

あれ?でも告白沢山されてるなら、

「もしかして、もう、彼女いる…の?」

血の気が引いた。

ライバルなんて気にせずに、
さっさと告白すれば良かった。
何回も、何十回も告白を受けているのなら
彼女の1人や2人や3人や…考えたくもないが、いてもおかしくはないのだ。



「彼女なんていたことねぇぜ?」

目を逸らして頬を赤らめながら言う宍戸。
なにこの純情ボーイ。すきだ。

でも
「あんたほんとに男か!
 不健全男子すぎだろ!
 長太郎とできてんのか!」

疑問しか浮かばない。
だって。中学生だよ?
彼女、っていうステータス、欲しい生き物でしょ←


はぁ…とため息を零す宍戸。

「好きなやつがいるから付き合わないの!
 そんでその好きなやつにも、全国行くまで告白はしねぇ!」

真っ直ぐ、言葉も、視線も私を刺す。

「好きな人いるの…?」

「あぁ」

「だれ!?ねぇ!だーーーーーーれーーーーーー
 教えてくれないと宍戸亮はホモセクシャルですって言いふらす!」

こう煮え切らないまま好きでいるなんて

宍戸を静かに好きでいた2年間無駄になる。

そう思ったら鼻の奥がツンとなった。

(あ。泣く)

「ちょ、お前、泣くな。まじで。
 わかった、言うよ。言えばいいんだな。だから泣くな。もう泣くな。」

はーっと深呼吸して
さっきよりも真っ赤な顔をした宍戸が言った。

「みょうじが好きなんだ。
 2年前からずっと。
 だから告白も断ってるし、テニスに集中したかったから告白しなかった」




ぽてっと涙が落ちた。



おい、おまえ泣くなっていっただろ、と、宍戸は腕を使って涙を拭いてくれた。

「ちがうよ。嬉し泣き。」

ニカっと笑って。

両思いなのは嬉しいし、彼氏彼女になりたいけど、付き合わないよ。
全国終わるまで。
でも。





全国大会の宍戸亮の応援は、


私だけで充分

(結局告白しちまったしな。激ダサだぜ…)











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