ファンタを2つ、両手で持ち、
私はいそいそと幼馴染の所属するテニス部の練習が見える木陰に向かった。
(コンクリートが丁度椅子みたいになるからベストスポットなんだよねー)
蝉の鳴き声が響く中
ファンタをひとつ開け、
暑…と独り言をつぶやき私はゴクゴクと飲む。
「ねぇ。何してんの」
そう声がする方に顔を向けると
私がここに来た理由ともなる人物が現れた。
「リョーマ。おつかれさま」
「ん」
そういいながらファンタをちらっと見るリョーマ。
「これリョーマのだから飲んでいいよ」
まだ飲んでいないファンタを差し出す。
いらない、と小さく呟き私の持っているファンタを奪い、飲んだ。
(わ。関節キス)
じーっとリョーマを見つめる私。
ぷはっと飲み終えたリョーマは満足そうに、意地悪そうに、笑った。
「そっち。なまえにあげる」
まだ未開封のファンタに指をさしながら言うリョーマだが、もともと私の買ったものである。
「え。なに。リョーマ何がしたいの」
関節キスなんて。
そう言うとム、とした顔をしたリョーマ。
「なまえこそ、何がしたいわけ?」
はぁーっと溜息を吐きながら
なんでここにいるの
なんでテニス部の方見てるの
何を見てるの、誰を見てるの
…気が散るから、もう来ないでよ。
と続けて言った。さっきまで笑ってたのに。いきなりなんなのさ。
「何がしたいって。わかんないや。けど私がここに来る理由はひとつだけ。」
リョーマが好き。
だからリョーマの質問に答えるとするなら、リョーマのことが好きだから、ここにいるしテニス部の方も見るし何を、誰を見てるってリョーマを見てるんだよ
言い終わるのとほぼ同時だった。
腕が引っ張られる。ぐい、っと抱き寄せられた。
「俺も。ダイスキ」
リョーマの肩越しに見えた未開封のキンキンに冷えたファンタが、
外との温度の差で汗を掻いているのが見えた。
炭酸シャワー
(他の男見てると思ってたからごめん。キツク言い過ぎた)