ありったけの流れ星を君に
「蓮二、知ってる?今日!流星群の日だよー!」
幼馴染の蓮二の家は、私にとって第二の家みたいなもので蓮二の家族は第二の家族みたいなものだったりする。いつか、本当に家族になれたらなぁなんて思ってはいるが、恋人にすらなれない、好きだという気持ちさえ伝える事のできない私にとって遠い遠い願い事である。
「知っている。今日、2013年8月12日から13日の夜明けにかけて東の空で観測できるペルセウス座流星群の事だろう?」
「ぺる…なんとか流星群?かはわからないけど、観たいの!」
私はずかずかと蓮二の部屋の窓際まで向かい窓を開ける。冷房の効いた蓮二の部屋とは対照的な外の熱気が私を押し寄せた。温い。
何も言うことなく蓮二も私の隣に来て、窓の桟に手をついた。
「ところでなまえ。何故急に流星群なんてものに興味を持ったんだ?
お前と出会ってから、流星群なんて何度も観測する機会はあっただろう?」
この人は頭が良いから、きっと解ってて言ってる。
わかってるけど言いたくない
蓮二と恋人になれますように。って願い事がしたいだなんて
もう自分の力じゃ無理だから、お星さまに気持ちを託すなんて
「ね、願い事があるから」
具体的な事は避けつつ、嘘ではない。グッジョブ私。
「流れ星が通る間に3度願いを唱えるというアレか?
どんくさいお前が成功する確率は2%だが。」
酷い。
私の気持ち知ってて言ってるなら、
私の告白の成功率が2%って言っているようなもので。
お星さまにも願わせてくれないような物言い。
反論する余裕のない私にまたもや蓮二が口を開いた。
「お前の願い事なんて
星に願わなくても、もう叶っているのだがな」
隣にいる蓮二。
私の肩に手を回しキスを落とした。
それと同時に流れ星が落ちた。
「なまえ、好きだ。」
優しい顔で笑う蓮二が愛しくて愛しくて仕方がなかった。
「蓮二、好きだよ」
自然にこぼれた。溢れた。気持ち。
「流れ星なんかに頼らなくても
なまえの願い事は全部俺が叶えてやる」
ありったけの流れ星を君に
(あと言い忘れていたが、この窓南向きだぞ?)