「っふ、んう…」
何度か角度を変えて唇を貪ると南は鼻にかかったような吐息をもらした。
逃げようとする舌を絡め取るようにして深く深くキスをしてやると苦しくなったようで軽く胸を押される。
名残惜しくも唇を離すと唾液の糸が二人の間を伝った。
「はぁ…っ」
南は頬を僅かに赤く染め肩で息をしていた。目の端に涙を溜め遠慮がちに俺を見つめる南はひどく色っぽい。
「南…」
そう声に出すと同時に南の体に手を伸ばし引き寄せる。
使い古したベッドのスプリングがギシ、と軋む。その音は否が応でも行為を連想させ、俺を更に興奮させた。
南をきつく抱きしめると南も俺の首に手を回してきた。耳にかかる吐息が熱いことから南も少なからず興奮しているらしい。
「ひがしかた…」
「南、すっごいかわいいよ」
抱き合ったまま南のパーカーの裾から手を差し入れ脇腹をなでるとくすぐったそうに身をよじる。
「はぁ…南ほんとにかわいい」
かわいい南を大事に大事にしたいのと同時にめちゃくちゃにしてしまいたい衝動にかられる。
こうして南と抱き締めあったりキスしたりするだけでも十分に幸せだ。しかし心とは裏腹に体は正直で、すでに俺のそれは頭をもたげている。
「南、今日はもっと先に進んでみないか?」
「先…?」
南は言葉の意味をうまく理解できなかったようで首をかしげている。
南はそういう類の知識にかなり疎い。それこそ保健の教科書で得た知識だけなのではないだろうかと疑うほどだ。
「絶対優しくするから」
そう俺がいうとなんとなく意味を理解したのか、南はきょろきょろと目を泳がしあからさまに戸惑う。
「え…それって…」
「うん、セックスだよ」
言い終わると同時に南をベッドに優しく押し倒す。
顔を真っ赤にしてこちらを不安げに見つめてくる南はやっぱりかわいい。
そこには普段の真面目でしっかり者の『部長』の南の姿はどこにもなくて、俺しか見ることのできないだろう南の姿がある。その事実に優越感を感じずにはいられなかった。
「南、嫌じゃないか?怖くない?」
「嫌なわけ、ないだろ…」
俺のシャツの袖をきゅっと掴み南はか細い声で呟く。無意識なのだろうが南のこういうところがたまらなくかわいいと思う。
「俺だって東方と、したい…」
絞り出すようにそう告げた南に俺の理性は音をたてて崩れ落ちた。
「あっんん…ひぁ!」
しっかりと慣らした南のそこは最初こそきつきつだったものの今はすっかり俺を咥え込んでいる。
涙を流し仰け反り喘ぐ南の淫らな姿を見ているだけで俺のそこは張り詰めているというのに、南がさらに締め付けてくるからはっきり言って限界が近い。
「ひっ…そこだめぇ…!やだぁ…」
俺が動くたびにぐちぐちといやらしい音が響いて南は恥ずかしそうに更に顔を赤く染めた。
「南…南…っ」
「んあぁっ!ひがし、かたっ…」
南のイイ所ばかり重点的に攻めていると、南のそれも先走りが流れだしていて限界が近いことがわかる。
「だめぇ…っ、イッちゃうぅ!ふぁあっ!」
「南、俺も…っ」
南が一際大きく仰け反り体をびくびくと痙攣させてイったと同時に俺も南の中で果てた。
「はぁっ…南大丈夫か…?」
まだ息もまともに整わぬ内に横でぐったりとしている南に声をかける。
はじめてだというのに少々激しくしすぎてしまったか、そう俺が心配すると南は肩で大きく息をしながらゆっくりと起き上がった。
「いや…東方と一つになれたみたいで嬉しかった」
疲労し切った恍惚の表情でそう告げた南がひどく愛しく思えて、俺は南の腰を労るように優しく撫でながら南を抱きしめた。
「俺も南と繋がれて嬉しいよ…」
腕の中の南が俺の背中に手を回し抱きしめ返すと、更に体が密着してお互いの心臓の鼓動が伝わるようだった。
南の少しばかり早い鼓動を自分の胸に感じながらあぁなんて幸せなんだろうと静かに微笑んだ。