(唇に、懐かしさと、あたたかい・スコール×アーヴァイン)

「懐かしい匂いがする」

うしろから優しく抱き締められて、襟足に鼻が触れた。すうっと空気を吸う音が聞こえた。そのまま離れない。すうっと。すうっと。

「懐かしい匂いがするな」

部屋の立ち鏡で服装をチェックしていた時だ。今日もお洒落にキメ込んで、道を歩けばすれ違う女の子に意識される様な、イケメンになって。
そうなれる様に自分をチェックしていたのだが。襟足に鼻。体はぎゅっと抱き締められて。あんたがいつ僕の部屋に来て、部屋に入ったんだか僕わかんない。
懐かしい匂いがするだなんて。

「僕の事覚えてなかった癖に〜」

僕が鏡に向かってからかう様に笑いかけると、今は思い出した。と、簡潔に。なんとまああんたは都合よい返事する。背後に居るから顔が見えない。一方的にくんかくんかされる。くんかくんか。匂いを嗅がれて。一言。

「懐かしい」

一言。スコールの声に。

「そうでしょう」

と返した。
僕を抱き締める腕を解いて、くるりとそちらを振り返る。スコールのクールでカッコいい顔を見つめる。ああ、その顔、その表情、綺麗だなあ。

「僕は懐かしいでしょう?」

カッコよくて綺麗な顔にそう言った。今度は優しく微笑んで。その青い瞳を見つめて、会話する様に。優しくしているよ。

「僕は、あんたの事をよく知ってるからね。あんたの子供の頃の事、思い出せるから。小さなあんたの色んな姿を覚えているから。懐かしいでしょう」

自然と。自然と懐かしくなるでしょう。思い出したのなら、僕が恋しくなる時が来るでしょう?
スコールは僕の頬に両手で触れる。両頬に人の両手。懐かしむ様な。恋しむ様な。それ以外なら?
クールが溶けて。
スコールの綺麗さが際立つ。
あんたの顔立ちは人じゃないくらい綺麗だけど、笑ったら、人みたいに綺麗だよ。
そんな顔で。

「ああ、とても懐かしくて、大切に、触れたい」

スコールの顔が近付いてきて、やがて距離はなくなる。スコールの唇は人間の温度だった。人間の温度で大切に触れられる。
距離がなくなる前。その顔、微笑みは人みたいに綺麗だった。
唇に、懐かしさと、あたたかい。

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