ゆるゆり | ナノ





「この前やったテストを返すぞ〜。面堂!」
「はい」
「終子ちゃんすごーい100点!?」
「面堂やっぱすげえなー」
「エヘヘ…」
(終子すごいなあ…)
「諸星!」
「はあーい! ……ゲッ、75点!?」
「もろぼし、何点だった?」
「し、しゅうこ! な、何点でもいいだろっ!」
「ははーん、さては悪かったんでしょ?」
「なっ…ち、ちげーよっ」
「騒いでないで席つけー。今回のテストで悪かった奴はちゃんと復習しておけよー」
(2年生の復習なんていっても…全部なんて無理に決まってるよなあ…)
「3 年生の授業は2年生の範囲を分かっている前提で進んでいくからな。これからどんどん難しくなるから2年の範囲でつまずいていたら置いていかれるぞ! 3年生になったらいよいよ受験生だ。つまずいているヒマなんてない! いいか、2年の範囲のニガテは今のうちに克服しておくんだぞ!」
「ざわざわ…」
(なんだよそれ…! やばいじゃん…!)




キーンコーンカーンコーン
「きりーつ、礼」
「あた子ー。帰りましょ」
「しのぶ…うん…」
「どうしたの? 今日は元気ないじゃない。もしかして今日のテストよくなかったの?」
「……うん、ちょっと…。もうすぐ受験生なのに大丈夫か不安になっちゃってさ…」
「そうよねえ。わたしも最近、漢字計算塾に通ってるの」
「そ、そうなんだ…」
「宿題がすごく多くて、最近毎日寝不足なのよ」
(しのぶ、あたしよりも成績いいのに塾に行き始めたんだ…!)
「あたし…このままじゃ憧れの◎◎高校なんてムリだ…」
「大丈夫よ、まだ1年もあるんだもの。これから頑張れば…」
「……しのぶは、成績いいからいいじゃん。あたしの気持ちなんてしのぶに分からないでしょ!!」
「えっ、あた子…」
ダダッ






「はあ…。しのぶは何も悪くないのに、しのぶにあたっちゃった。最低だあたし…」
「おぬし。肩を落としてどうした、らしくないのう」
「サクラ先輩! …実は…」


「ふむ。事情は分かった」
「あたし…どうしたらいいんでしょうか…。サクラ先輩は部活でも引退まで活躍してたのにどうして◎◎高校に合格できたんですか?」
「それはな。真剣ゼミじゃ!」
「真剣ゼミって…あの?」
「真剣ゼミなら15分で一日分の学習がばっちりできるのじゃ。家に帰ってから夕餉までの時間に終わってしまうじゃろ。大事なポイントが見やすくまとまっておるから分からないところもすぐに理解できるし、解説も親切だから一人でも心配なく勉強できるぞ。今なら2週間で2年生の復習が完了する春休み完璧学習キットもついておる」
「2週間…? ハッ、ちょうど春休みでできちゃう!」
「今がスタートするチャンスかもしれんぞ。後悔せんようにな!」











「ただいま〜…あ、これ…真剣ゼミからDMが来てる!」
「これがサクラ先輩のいってた『春休み完璧学習キット』かあ。最低限の問題だけをやれば単元を理解できるようになってる! 答えもグラフや図がいっぱいですっごく分かりやすい!」
「へえ〜。24時間電話ファックス対応で分からないことはいつでも聞けるんだあ! 安心だね!」
「えっ!? 春休み完璧学習キットがつくのはこれで最後!?」



「お母さん!」
「あらあた子、帰ってたの。おかえり」
「お母さん、聞いて! あたし真剣ゼミやりたい!」
「真剣ゼミ〜? 昔ためちゃってすぐやめたじゃないの。あんたコツコツ何かやるの苦手でしょ」
「これ見てお母さん! 真剣ゼミは理解するための要点がまとまってるから一日15分でいいの! あたしちゃんと毎日勉強するから!」
「でも、受験勉強なら3年生になって塾に通えばいいんじゃない」
「3年生の学校生活を楽しみながら◎◎高校に合格するために今スタートを切りたいの! それに真剣ゼミならひとりひとりにあわせた学習方法ができるの!」
(この子がこんなに真剣に自分の意見を言うなんて…)
「そうね、ゼミのほうが家計にも優しいし……そんなに言うならやってみなさい!」
「やったあ! お母さん、ありがとう!」










〜3日後〜

「もう届いた〜!」
「これが教材かあ。さっそくやってみよ♪」
すらすら…
「苦手な数学も解き方が分かりやすく書いてあるからすらすらできちゃう。ほんとに15分で終わっちゃった☆ さあ答えあわせだ♪ 」
「あ、間違えちゃった…てへへ☆なるほどお、カナダの首都はオワタではなくオタワ、と…。解説もイラストつきでわかりやすいから自分で答え合わせするのもぜんぜん苦じゃない!」
「よし、今日の勉強おわり♪」
戸口から覗いている母(あの子が自分から勉強するなんて…)








〜次の日の授業〜

「よーし、じゃあ次の問題はちょっと難しいぞ〜。諸星!」
「はい! 3.14159265358979323846264338327950288419です!」
「正解だ! よくできたな!」
「ざわっ!」

「今日は抜き打ちで英語のテストするぞ〜!」
「えーっ!!」
「はじめっ」
(あっ…これ、真剣ゼミでやった問題だ…!)
(すごい! スラスラ解ける!)
「100点は終子とあた子だ!」
「二人ともすごーい!」
「やるじゃないもろぼし」
「ふん、お前もなかなかじゃん」





〜放課後〜

「さよーならー」
「ばいばーい」
「あ…しのぶっ!」
「…あた子」
(この前から気まずくて話してないや…)
「あの…この前はごめんね…」
「ううん…いいのよ。あた子、最近とっても輝いてるわね…」
「えっ?」
「はあ、わたしもう1週間寝てないの…。今日も帰ったら塾の時間までに終わってない宿題しなきゃならないし…」
「しのぶ…大丈夫? 顔色…わるいよ?」
「うん…ああもうこんな時間…ごめんなさい、先に帰るわね…」
「あ、待ってしのぶ!」
「…なによ」
「あたしね…真剣ゼミ始めたの! よかったらしのぶも一緒に真剣ゼミやろうよ! 真剣ゼミなら、少しの時間で効率よく勉強できるんだよ!」
「真剣ゼミかあ…。考えてみるわ…」









〜数日後〜

「では明日から春休みだが、羽目を外し過ぎないように。それから各自きちんと3年生になるための準備をしておくんだぞ!」
「はーい」
「あた子! 今日空いてる?」
「しのぶ。空いてるよ」
「一緒にこれ、やりましょ!」
「!! しのぶも真剣ゼミ、始めたんだ!」
「うん!」
「……なんだ二人も真剣ゼミやってたの」
「しゅうこ!」
「しのぶさんはともかくも、もろぼしはちゃんとアレ進めてるんでしょうね?」
「もっちろん! この『3年生へのカウントダウン!弱点克服ブック』だろ!」
「これ、1ページに1つの問題で解きやすいし大切な問題ばかりだからとっても役に立つのよね」
「解けなかった問題は切り取って壁に貼ったりファイルに入れて持ち歩いたりできるから苦手を着実に潰せるというスグレモノ!」
「そうだ、じゃあ面堂さんも今日一緒にお勉強しましょうよ!」
「えーっしゅうこといっしょなんてやだー」
「わたしももろぼしと一緒なんて反吐がでるけど…しのぶさんのお誘いならお断りできないわ」

こうして私達は真剣ゼミで毎日確実に学力をつけながらも、キャンプへ行ったりテーマパークに行ったりお洒落をしたり春休みを精一杯満喫した!







〜学期開け〜

「げーーーっまたしゅうこと同じクラスーー!?」
「朝からうるさいやつね。あ、しのぶさんも同じクラスだわ」
「面堂さん、あた子、また1年よろしくね♪」

「春休みの課題テストを返すぞ〜。今回は全教科100点がなんと3人もいる!」
「ざわっ!!!」
「終子としのぶと…あた子だ! よく頑張ったな!!」
「すげーーー!」
「さすがね〜!」
「あた子、最近どうしたのよ〜!?」
「ふふ…☆」
3人で目を合わせてウインク

















わたしは今、真新しい制服に身を包み満開の桜並木の下を歩いている。
伸びた髪を風が優しく撫でた。見上げた空は私を祝福しているかのようにどこまでも青く輝いている。
肩からかけた新品の鞄に印字されている、「公立◎◎高校」の文字。

あのとき…そう、あのときスタートしたから、私は今ここを歩いている。


「あた子〜〜〜!」
「……しのぶ!」

振り向いた先に、手を振りながら駆けてくるしのぶの姿があった。
しのぶの制服は、◎◎高校の隣にあって進学実績も並ぶ私立△△高校のものだ。

「制服似合ってるね、しのぶ」
「あた子もとっても似合うわ。やっぱりあた子には、△△高より◎◎高校のほうがよかったわね」

わたしは、合格した△△高と◎◎高のどちらに進学するか直前まで迷ったのだ。

「うん…あこがれのサクラ先輩もいるしね」
「ふふっ。それだけじゃないでしょ!」
「え…」

思わず赤面したわたしの脇を、「ほら来たわよ!」としのぶが肘でつついた。
桜吹雪の向こうから長い黒髪を靡かせながらゆっくりと歩いてくる彼女は、わたしと同じ制服をさらりと着こなしている。

「高校でも一緒にいたかったんでしょ♪」
「……なっなわけねーだろっ」
「終子も喜んでるわよ、きっと!」
「だ、だから違うって!」

からかうしのぶをぽかぽか殴っていたわたしのほうを見て、終子が遠くから一瞬微笑んだのが見えた。
……いまなら、意地張らずに仲良くなれるかな…。




あのとき始めなかったら、きっとこんな幸せは掴めなかった…
真剣ゼミを始めて本当によかった!
さあ、次はこれを読んでる君の番!
今がスタートするチャンスかもしれないよ!
絶対後悔したくない君、いますぐその一歩を踏み出そう!!













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