森と君と | ナノ
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 4.太陽を、願う


――すっかり日が暮れるうちに次の朝が来て、ドゥロロが再び森へと足を踏み入れたときには、そこは、また姿を変えていた。

乱暴な開拓、と言えなくもないほど散々に荒れた森は、幾分か、進み易くなっているが、喜べはしない。

昨晩の鳥がときどき、こちらに様子を見に来ては、去っていくのを繰り返す。

――滝の近くで、足元から不思議なにおいを感じ、ふと地面を見ると、何かの体液とおぼしきものが、点々と垂れているのに気が付いた。まるで、自らをどこかに導いているようにも見える。


――すぐに、その意味はわかった。
奥の茂みから獣が顔を出してきたのだ。

それは、狼のような、猫のような『何か』だった。しかし、その眼差しや、指先は、どこか、人間のようにも見える。

体の色は、よくわからない。ひたすらに何かで汚れていた。
赤とも、青とも、緑ともいえない何かを浴びていて、それを背中から、口から、首から滴らせ、散々に暴れたことがうかがえる。
しかし、それなのに、彼はちっとも満足げではない表情で、きょとんとこちらを見上げていた。
目が合うが、どうしようもできない。足がすくみ、動けなかった。
体は震えるのに、なぜか気持ちは冷静で、こうなることを、実はどこかでわかっていたような気もする。

目の前の獣は、口をもぞもぞと動かしたかと思うと、舌を動かし、さっきから挟まっていたらしい、何らかの、どこかの部分をぽと、と吐き出した。

草に落ちたそれを直視するわけにもいかず、ドゥロロはただ、笑った。

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