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4.Weigerts law [ 13/124 ]

 こんな日に外出するのは、億劫だ。なんで出てきてしまったのだろう。ついてない……

俺は道が好きだ。
地面が、地面だという事実はいまだにどこか、信じられていない。
けれど、落とし穴や、歪んだ場所はそれほどないのだと、最近はわかっている。ふわふわと足元が浮いているみたいで数年前は道路を歩くのが少し怖かったっけ。

今は、マシだといってもやはり、渋滞は嫌いで、集団も嫌い。
身体が少し震えるのを気付かないふりをして、なるべく目を逸らして、それが見えない道へ逃げ込む。
早く、早く。
どこに行こう。
邪魔するあいつらが視界から無くなる場所がいい。

そう思うと、結局、帰って来てしまった。

「ただいま」

なんだか、気まずい。
玄関先でしゃがんでいると、ぎゅー、と抱き締められる。

「おかえり」

「…………」

なんだか、ぶわっとなにかが込み上げて来て、そのまま泣いてしまう。

「どうした?」

「なん、にも」

怖い、痛い、苦しい。
ただ、そう思った。




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