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「#エロ」のBL小説を読む
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ひぐらし卒 とコラボするつもりはなかったんですがそうも見えますね(笑)
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「ささぎお姉さま」
 寮から出て理事長に連絡を済ませ、廊下を歩いていたささぎに、声がかかる。
ひとまずは、まつりたちを招き入れることには成功した。次にすることもある。
「あぁ、ごめんなさいね……」
考え事が脳裏を埋め尽くすと声が聞こえなくなりがちなので、思わず謝りつつ、ささぎは《彼女》の方を向いた。
「さっきはご苦労様」
「あの。《いつもされていた》のは、為さらないのですか? 私、てっきり」
「…………そのつもりだったんだけど、ちょっと、用事が出来てしまってね」
「あの、では、鍵は」
「放送委員や先生には私から言っておくわ」

 なんて、そもそも現在、ある意味では言う必要自体が無いのだけれど。
 理事長を放送で呼んだ時点のことから、ここまでの流れなのだから、当然交渉済みだ。
けれどそんな裏話を一般生徒が知っているわけもないのでここはあえてこうしておくほうが無難らしい、とささぎは判断した。

「さっきは、びっくりしました」
「ふふ、ごめんなさいね。といいつつも私は結構、嬉しかったりするけど」
「あ……はい……」
「唯理は、まつりとは知り合いなのよね」
「えぇ……駅で、ちょっと」
「あの子に会ったら、生徒会にも顔を出すように伝えて欲しいのだけど」
「わかりました。あの件のことは」
「あの子には、どの道、どうせ伝わると思うわ。何かあったら、手伝ってあげてね」
「はい」
 彼女はゆっくりと頭を下げてその場から走っていく。
ささぎは思考を続ける。
次にすることは……
白衣から端末を取り出して電話をかける。
(今日こそ通話に出て貰わなくちゃ。そして、こんなバカげたことは止めるように、言わないと)
 連絡先は、何度も何度も連絡を待っているところ――――
一言で言うなら、日本にある、いろんな意味で名高い『研究所』だった。
『ある一件』から、一切の連絡が遮断されており、今日も、昨日も、先月も、何度かけても繋がらない。繋がったとしても「メンテナンス中のため」と自動音声が流れるのみ。

「……やっぱり、出ないか」
数分、待ってみたけれど、録音に切り替わるだけで、担当者は出てこなかった。
「しょうがないなぁ」
画面を通話からネットに切り替えて、サポートの掲示板の方に書き込んでみる。
「例の薬について、話があるので、れ・ん・ら・く・を……ください、と」


 ――――ちょうどその時、何処からか電話のベルが鳴り響く。
職員室? それとも、理事長室? 誰からの電話だろう。
「私にも、来ればいいのに……」
ひっきりなしに聞こえるその音に、連絡をください、と書いたちょうどのタイミングで鳴る他者へのベルに、なんだか苦笑いした。
 タイミングが良すぎる。
コンクール等の連絡には自分の個人の番号を載せているし、まさか、学校側にかかって、それ私が代わることなど無いだろうから、教員同士の電話に違いない。
虚しいな、と思う。
「まぁ、期待は、してなかったけどね」

と、落胆したときだ。ちょうどのタイミングで電話が鳴る。
やっと研究所に繋がった!?

淡い期待を打ち破るように、通話ボタンを押すと端末に瞬時に流れる声。

「私に電話しましたか?」

理事長の声。

「今さっき? いえ……してませんけど」

かけたのは研究所の方だ。
なぜ理事長から電話が来るんだろう?
これは前にもあった。通知でも設定してあるのだろうと思うけれど、研究所にかけるたびに理事長から連絡が入る、なんて端から見れば理事長と頻繁に連絡をしているかのようだ。
はぁ…………
(──研究所に連絡させずに、理事長室の電話が鳴り、彼女からの通知が入るばかり……って、研究所には何か特でもあるの? それとも、嫌がらせ?)

202005222258‐2022年8月28日13時43分‐2022年9月10日10時12分加筆