それは今もわたしを照らしている。
気付いたんだ、いまさらになって。
聴くに耐えないこの汚い声が、
生温くて気持ち悪いこの手が、
薄汚れたまんなかを示すこの目が、
そこかしこにその濁りを滲ませるこの心が、
そんなすべてが紡ぎ上げるこの言葉が、
わたしが、なんのためにあるのかを。
君がくれた“うた”が教えてくれたんだよ。
好きだと言ってくれた。
こんなわたしとその言葉を。
あたたかいと、大切だと。
「おとなり」にあり続けることを願ってくれていた。
きっと、あの日から変わらずに今も。
その魂のはんぶんを持って生まれた。
君とわたし、かたわれの月。
ねえ。
君から分かれたこのこころは、いつからだろう。こんなにも汚れてしまったけれど。
それでもこのすべては、きっと君のためにあった。
だからわたしはまだ足掻こう。
何度でも届ける。そのために君に“うた”おう。
君が洗ってくれるなら、このこころはまた燈を取り戻すだろうか。いつか君から分かれた知らない“あの日”の様に。
そんな瞬間をきっと、「おとなり」で見つけたいんだ。
聴こえているかい?

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