イヴ
企まれていることにも気付かないばかな君が好きだ。
わかっていない、まだわかっていないね。
道端に落ちている様ななんてこと無いしあわせを、一緒に見つけに行けるともだちがわたしにいると、どうして思うの。
わたしが大好きなともだちと遊ぶと喜ぶのを、羨ましいなんて零して笑った。わたしはその間、お月様みたいにまんまるな目をして驚く君を想像して笑っていたよ。
わたしが大好きだと言ったそのひとが、他でもない君自身だと気付きもしない子供な君が好きだ。
ほんとうのことを知った君は明日、ひとつ大人になるね。
わたしにほんとうの色を教えてくれたこと。
どんな風景も、君と見るから輝くこと。
君が居るから、たとえ離れていても何気なく見る景色が光を放つこと。
まだ何も知らない君にそれを教えて、明日に発つのを見送るよ。
今日のおやすみと明日のおはようは、わたしたちにとって今日までのそれとは少し、違った意味を持つ。
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