そしてぼくらは“人”を棄てる

冷房の基本設定が23℃だと、頭が悪いらしい。
だったらなんだよ。外気温32℃って、頭が悪いのはむしろ世界の方じゃないのか。なんて平然と思う。
夏。真っ青な世界。なぜだかそんなふうに思う、夏。
どこまでも続いているように見える空と海。ラムネ瓶の中のエー玉。時の流れの中に置いてきた春。
あの日のわたし、きっと、君が触れてくれなきゃすべて意味がないような肌で生きていた。28日毎に生まれ変わってゆく中で、いつしかそんな甘さや柔らかさは何処かに捨ててきていることに気づいている。けれど、たぶん、それこそがあるべき姿。
日々を重ねてゆくうちに薄汚れていくからだに、「仕方ないね」って笑えたら、それが大人になったということよ。
明日を願うこと。幸せを祈ること。
とっくの昔にやめていた。
身の丈も弁えずに希望を持って叩き落とされるのなんて、真っ平御免。
そんな蝿みたいなモノにわたしはなりたくない。

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