うそつき

気持ちがわるいそれを愛している。
私に愛情を向ける人なんて気持ちがわるい。
私自身でさえ、私を愛せやしないというのに。
それすらも、愛せない自分が好きなのだと揶揄される世界だ。
愛なんて気持ちがわるい。うそつき。好きだなんて、そんなことを言っている自分が愛おしいだけなのに。気持ちがわるい。気持ちがわるい。気持ちがわるい。

手を繋ぎたい。
柔らかな髪に、頬に触れていたい。
あたたかなその身体を抱き締めたい。
その気持ちがただの本能だなんて知りたくもなかった。
その気持ちが愛情じゃないなんて知りたくもなかった。
愛情ってなんだ。
愛。愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛。
ゲシュタルト崩壊。こんな形だっけ、のリフレイン。
君を傷つけて、苦しめて、壊れてゆくのを見るのが好きだ。
泣いて、喚いて、いずれ私をきらいになってゆく君が好きだ。
憎悪で、憤怒で、怨嗟で燃える瞳を私に向ける君が好きだ。
言葉の限りを尽くして私にナイフを突き立てる。そんな君が好きだ。
それが愛だ。
それが愛だとて。
もしも生まれ変わるなら、その時はどうか、気持ちがわるいそれを愛だと叫べたらいい。

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