君の瞳の暗闇

たいせつな話をした。
かなしい話をした。
それは夢で、
それは後悔で、
それは願いで、
痛みでもあって、
わたしはただ、祈っていた。
抱きしめた体が離れて、
頬に触れた手だけが辛うじて安心を守っている。
うすくらがりの中。
交わる視線。
その時、君の瞳の暗闇が融けた。
恐くて、怖くて、いつだって直視出来ないその闇に、わたしは出逢う。
知らないままでは居たくないそれを、その闇ごと、わたしは君を抱きしめてあげたかったのに。
未だ、わたしは足りない。
未だ、わたしは弱い。
君の奥の深淵を正面から見つめるだけの優しさが。
わたしの内の陰翳を君に覗かせるだけの強さが。
わたしには、ない。
それは願ってやまなかった強さであり、
それは祈ってやまなかった優しさであって、
何度だってただ夢に見た“君との明日”だった。

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