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れんあいゆうぎ06

盛りつけられた料理に目を奪われ気づくのが遅れたが、キッチンを見渡せば見たことのない調理用具で溢れかえっている。そもそも。日頃全くといって料理をしないカカシのキッチンには包丁やまな板、ミルクパンに薬缶といった必要最低限のものしか置いていなかったはず。

今まで家に上げた女達にも料理を作ってもらった事がない。本命を作らないオレへの点数稼ぎなのか作ってあげる、と言われたことは何度もあるが、その都度機嫌を損ねないように断り続けてきた。

忍という職業柄むやみやたらに他人の作ったものを口にしないというのは常識で。それに加えて関係を持つ女の殆どが隙あらば既成事実を作り上げようと小細工に勤しむ奴らばかり。そんな奴が作ったものなんて何が入っているかわかったもんじゃない。実際。一度だけコーヒーを入れてもらったことがあったが少量の媚薬が混入されていた。暗部時代、薬物に対する抗体をつけるための訓練をしていたおかげですぐ味の異変に気づいたからよかったものの。媚薬で死んだりはしないが立派な薬物混入。聞けば女は媚薬により快楽に溺れたオレを丸め込んで避妊をせずに行為に及ぶつもりだったらしい。これだから女は恐ろしい。それから女に対して警戒は強くなり、家にあげることも少なくなった。あげたとしても必ず玄関から寝室に直行。事を終えれば直ぐに帰すようになった。不特定多数の女と関係を持つことを止めれば良いだけの話なんだけど一人にしぼるのもめんどくさい。というか。出来る限り会いたいだとか、添い遂げたいだとか、そんな風に思える相手に出会ったこともなければこの先出会えるとも思えない。と、まぁ。話がだいぶ逸れちゃったけどそんなわけでこの調理用具たちは女が持ち込んだ物だというのは有り得ない。

だとすればナルトのもの。…もしかして勝負道具って、コレ?

余りにも予想外すぎる出来事に柄にもなく唖然としてしまい、キッチンを覗き見してる事がナルトにバレてしまっているなんて全く気づかなかった。



何もかも意外すぎて先生、どうしたらいいかわかんないよ。しかも。もっとオマエのこと知りたいとか、そんなこと思うなんて、この勝負、勝てる自信ないかも。
 
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