風呂から上がり、良いお湯でした、なんて言いながらリビングに入るとテーブルの上には出来立てホヤホヤのご飯が用意されていて、エプロン姿のナルトがちょこんと座っていた。

「先生。ボーッとしてねぇで冷める前に早く食べろってば。」

「あぁ、うん。いただきます。」

外食ではなく自宅で人とご飯を食べるのは久しぶりで、しかもそれが手料理だなんて何年ぶりだろう?十年以上、一人暮らしをしていれば家事は大抵できるしわざわざ彼女に手料理を振る舞ってもらうことなんかなかった。だから、なんだか少し照れくさい。

「オマエ、料理なんかできたんだねぇ。」

「一人暮らしなめんなってばよ。自炊が一番節約できるからな。」

「うんうん。良い奥さんになれるよ。是非嫁にもらいたいねぇ。どう?毎朝オレにみそ汁作ってくれない?」

「……え?」

………何言ってんだオレ。今のじゃまるで、プロポーズじゃないか。いや、この場合、ナルトが「なんでそうなるんだってば」とかツッコミ入れたりしてくれたりすれば、軽い冗談ってことになったんだろうけど、なんで、そこで固まっちゃうの、ねぇ、なんで、そんなに顔が赤い、の。

「…せんせー。オレのこと、好き、なの?」

好き、なのは、オマエでしょう?オマエがオレを、好きなんでしょう?あぁ、でもなんか、凄く可愛い。

「………そう、かも。」



オレは、この先も、たまに遊んで、生涯を共にするとか、そんな相手を作る気なんてなくて、気ままに一人で生きていく気だったんだけど、だってその方が楽だし、他人に気を使ったり、気にかけたり、そういうの、面倒だし、でも、なんか、いいなーって思ってしまった。誰か、じゃなくて、ナルト≠ェ、オレの帰りをここで待っていてくれて、おかえり、って笑って、たわいもない話をしながら一緒にご飯食べたり、テレビみたり。夏の暑い日は、暑い、なんて文句言いながらもちゃっかり寄り添っておやすみなさい。冬の寒い日だって、寒い、って言いながらおやすみなさい。春だって、秋だって、いつだって、何かと理由つけて寄り添いあって眠るんだ。あぁ、ケンカとかもしてみたいな。恋人とケンカなんて面倒以外のなにものでもないと思ってたけど、ケンカして、でも寂しくなって謝って、仲直りのキスをして、やっぱり隙間なんてないくらいに寄り添って眠るんだ。目が覚めたらナルトが居て、慌ただしく家を出て、良いことがあった日も悪いことがあった日も酷く疲れた日も特に何もなかった日も、家にかえればナルトが居る。オレを迎えてくれる。あぁ、そういうの、幸せかもしれない。



「なに、してんだってば。すんげぇ、邪魔。洗い物、できねぇんだけど。」

ご飯を食べ終わって、後片付けをしているナルトの後ろ姿を見てたらなんだか無性に抱きつきたい衝動にかられたのでとりあえず抱きついてみたら文句を言われた。でもナルトは耳まで真っ赤。なんだかなー。コイツ、こんなに可愛かったっけ?

「オマエさ、アパート追い出されたんだよね?だからココに来たんでしょ?」

「うん。家決まるまで置いて欲しいんだけど、ダメ?…ていうかホント、ハナレテクダサイ。」

「ダメじゃない。ていうか、ずっとココに住めば?」

「…でも、」

「毎朝みそ汁作ってくれるんでしょ?明日はナスの味噌汁がいいなー。」

「なぁ、本当にオレのこと、好きだってば?」

「うん。さっき、好きになった。」

「………なにそれ、バカにしてんの?」

「してないよ?なんで?」

「だって、さっきって、そんないきなり好きになるもんかよ。それに、ずっととか、そんな簡単に、言える人なの?先生は。」

「しょうがないじゃない。だってオマエ、凄く可愛いんだもん。オレはさ、この先誰とも一緒に暮らす気なんてなかったよ。一人の方が気楽だし、なにより一人が好きだし。でもなんでかな、オマエがこうやって、いつもオレの帰りを待っててくれたら幸せだな、って思っちゃったんだ。だからココにずっと居て欲しい。今日みたいに、笑って、おかえり、って言ってほしい。ダメ?」

「ダメ、じゃない、ダメなわけないってば。信じていいんだよな?先生のこと。」

「うん。好きだよ、ナルト。これからもっと好きになる気がする。オマエなしじゃ生きられなくなるかもね。その時はちゃんと、責任とってよね。三十路すぎたこれからどんどん老いていく男をひっかけたんだから。」

「オレはずっと先生が好きだった。この先もずっと好き。ありがとう、先生。へへ、介護は任せろってば!」

「…介護って。うーん、まぁ、宜しくお願いしますよ。よし、じゃあベッド、行こうか?」

「は?なんで?まだ片付けの途中なんだけど。誰かさんが邪魔するから全然進まねぇ。」

「そんなの明日すれば良いじゃない。学校休みなんだし。なんならオレがするから。さ、ホラ行くよ。」

「ちょ、だからってなんでもう寝るの!?まだ9時だってばよ!?いくらなんでも早くねぇ!?」

「何言ってるの。今日は世間でいう初夜みたいなもんだよ?ソレに、オマエ言ったじゃない。ご飯にする?お風呂にする?それともオレ?って。オレ、ナルトって答えた筈なんだけどなー。てことでこれからナルトをいただきます!」

「え、ちょ、アレは冗談、って、どこ触ってんだ!変態教師!」

「はいはい、照れないのー。ほんと、かわいいなー。食べちゃいたい、って今から食べちゃうんだけどねー。デザート、デザート。」

「あっ、せんせっ、ちょ、まって、って…!あ……っ!」







(僕と君の秘密基地)



「いやぁ、それにしてもオマエ、エプロン似合うね。次は裸エプロンなんか良いと思うよ。」

「…実家に帰らせていただきます、ってば。」







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しろちゃん、サイト一周年おめでとー!
遅くなって本当にごめんね(>_<)
夫婦設定でリクエストもらってたのに夫婦になるまでのいきさつになっちゃった!あれ…?おかしいなー(´・ω・`)
あと、糖度高めはコレが限界だった!私の中ではコレでも甘々なんだよー!
でもね、でもね!「おかえりなさい、あなた」ができたから満足なんだ、私は!(オマエが満足してどうする)
愛はたらふく込めたから色々許しておくんなまし!←

最後に、イッチャンはしろちゃんがだいすきでっす(`・ω・´)キリッ←



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