恋人がドSなんですが | ナノ
嫌いになるよとほのめかしてみなさい [ 4/4 ]

あれをしてもダメ。
これをしてもダメ。
何をしても効果なし。
太宰に対抗する術なんて若しかしたらこの世に存在しないのか。
愛されている自信がなくなってきた。
否、実際に愛されていないのかも知れない。
だったら一層のこと太宰の事を嫌いになれればいいのに。
ん?待てよ、嫌いになる?
そうか、嫌いになればいいいのか。
流石の太宰も私から嫌いだと告げれば慌てるに違いない。
よし、今回は勝てるぞ。

「太宰、あのさ」
「今回は何を企んでいるのかな、君がどんな手を使っても私に勝つ事など不可能なのだから諦め給え」
「そうだね勝てないね。てかもう何か疲れちゃってさ、私ね太宰の事嫌いになったわ」

完全自殺読本を読んでいた手が止まった。
いい反応だ、なんて悠長な事を考えていたが。
今まで見た事のないような真顔の太宰がそこにいた。
やばいくらい恐怖を感じる。
え、私そんな変な事云ったか?

本を置いた太宰は私に近づいてくる。
流石に身の危険を感じた私は猛ダッシュで逃げるが。
壁際まで追い詰められ、所謂壁ドンと云うものをされてしまい逃げ場がなくなってしまった。
滅茶苦茶怖いよーう。
国木田さん助けて、ヘルプミー。

「なまえが私の事を嫌い?寝言は寝てから云うものだよ。まさか他に好きな男でもできたとか云い出すんじゃないだろうね。そんな事は私が許さない。君は私のものだ。他の男が触れる事も話しかける事もこの私が許さない。例え君が私を嫌いになったとしてもそんな事は如何でもいい。ならばまた好きにさせればいいだけの話だ。何簡単な事さ、誰の目にも触れないように永遠に閉じ込めてしまえばいい。そうすれば私以外の人間と関わらなくなる。私にしか目がいかなくなる。そしたら君がどれだけ拒もうとも私を好きにならざるを得なくなるだろう。実に愉快じゃないか。ねえなまえ、俗世との別れは済んだかい?」

何か分からないけど怖えええええ。
なにこの人めっちゃ怖いんですけど。
え、何て云ったの。
マシンガントーク過ぎて何云ってるか理解できなかったんですけど。
何処で息継ぎしたの。
今絶対息してなかったでしょ。
目が死んでるよ太宰さん。

「あ、あの…太宰さん…?」
「まだ私の事が嫌いかな?」
「滅相もございません…変わらず大好きです。アイラブユーです」

これほどまでに怖い人間だと思っていなかった。
とんでもないヤンデレじゃねーか。
これ本気で浮気とかしたら浮気相手がこの世から抹消されそう。
そして私も監禁されて一生日の目が拝めなくなりそう。
冗談でも嫌いとか云うんじゃなかった。
怖すぎるぞ太宰。

ならいい、と云わんばかりに再び本を読みだす太宰。
生まれて初めて命の危険を感じた。
これはもうドSの域を超えている。
そんな生易しい表現じゃ足りない。
完全に歪み切っている。

でもそんな太宰が変わらず大好きで、傍にいたいと思っている私も変わり者なのかも知れない。
まさか…ドM…?
違う、断じてドMなんかじゃない!!


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