恋人がドSなんですが | ナノ
たまにはやり返してみなさい [ 3/4 ]

悪化してしまった太宰のドSっぷりを如何にかせなねばなるまいと考え込んでいた時に、与謝野先生からとても素晴らしい助言を頂いた。
やり返せばいいと。
そうか、その手があったか、とまるでエジソンが電球を発明した時のような閃きっぷりだった。
だが相手は太宰だ、そう易々とやり返す事は叶わないだろう。
けれど此処で諦める私ではないのだ。
今日こそぎゃふんと云わせてやる。
太宰が慌てふためく様子が目に浮かぶわ。
これは愉快痛快、実に楽しい。
間抜けな姿をカメラにおさめて中也君にも送ってやるから待っていてくれ給え。

さてやり返そうとは思うが何をしてやろうか。
今までの恨みを100倍返しにしてやりたい。
そう云えば太宰は犬が苦手だと何処からか聞いた事がある。
よし、犬を連れてこよう。

「で、莫迦ななまえは何故犬を抱えているのかな」
「ほら可愛いでしょ?太宰も抱いてみなよ」
「私は遠慮させてもらうよ」

おお、これはひょっとしたらひょっとするのか。
もしや効果覿面か。
ついに私はやり遂げちゃったのか、あの太宰に。
長年の恨みを晴らす事が出来たのか。
やったよ中也君。
犬を近づける度に太宰が厭そうな顔をしてるよ。

ほれほれ、と近づける私の眉を顰めつつ犬から遠ざかろうとする太宰。
正直滅茶苦茶楽しい。
このまま顔に犬を乗せてやりたくて堪らない。
実は私にもSの気があったのかな。
調子に乗ってグイグイと犬を太宰に近づけていたのだが、あまりのしつこさに苛立ったのか私から犬を取り上げるとそのまま下へと置いた。
え、お前犬嫌いじゃなかったの。
何で普通に触ってんの。

「大方、私に仕返しでもしようと考えていたのだろうけど、なまえ如きがやり返そうなんて100万年、否、永遠に不可能だよ」
「五月蠅い五月蠅い、今日と云う今日は絶対太宰をぎゃふんと云わせるって決めてんだよこんちくしょう」

強がって啖呵を切ったのは良いが、何処から出したのか包帯を片手に持っている太宰は、あっという間に私の両手を縛り上げた。
そのまま馬乗りになるとにやりと口角を上げ、その瞬間冷や汗が止まらなくなった。
これはやばいやつだ、経験上から分かる。
太宰くん本気で怒っとるやないかーい。

逃げ出そうと身を捩るがびくともしない。
ワキワキと気持ち悪い動きをする太宰の手は私の両脇腹へと場所を変え。
そしてそのまま動かし始めた。
彼による擽り攻撃が開始したのだ。

脇腹が弱い事を一体何処で知ったのか。
急所を攻撃された私は泣き叫び許しを乞う事しか出来なかった。
しかし太宰の手は止まらない。
それどころかどんどん苛烈さを増していく。
このまま擽り殺されてしまうのではないかと思ってしまう程に。

「ああ……ぁ!っ…!あぁっっ!」
「うふふ、そんな恥ずかしい声を出しちゃって」
「だざっ…ゆるし…あっ…!」

散々擽られ、あられもない声を出し続けた結果。
当然次の日、私の声はカスカスで話せなくなったのは云うまでもない。


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