青い空、白い雲――なんて前置きは聞き飽きた。でもやっぱりこの空を表現するには、それが一番いいような気がする。
海の蒼が写って、反射して。それでもって綿あめみたいな雲がふわふわと浮かんで。太陽も元気に輝いてる。

ゆっくり深呼吸すれば、夏の匂いが鼻から抜ける。それが俺は嫌いじゃない。


「こんなところで何してんだ」


ふと背後から声がした。
振り返れば、太陽に照らされてキラキラと光る金髪が目に入る。思わず目を細めた。


「見つかっちゃった?」

「疑問系かよ」


俺は今学校の、所謂プールサイドにいる。ここは現時点では使われていない為、誰もいない。俺のとっておきの場所だった。
そこに佐藤くんが来た。
佐藤くんと俺は昔からの幼馴染みで、今までずっと一緒だった。――今まで、は。


「佐藤くんも休憩?」

「お前と一緒にするな。てかお前のそれは"サボり"だからな」


そうだね、なんて笑ってみせる。
いつの間にか、笑顔は癖になっていた。少しでも面倒なことになりそうだと、笑顔で誤魔化す。そんな日々が当たり前になった。


「それ、やめろ」

「……え?」


突然横に座っていたはずの佐藤くんが立ち上がった。
と思えば、顔を下げて俺を見下ろす。
太陽の光が佐藤くんを照らして、とても綺麗だ。


「その無理に作った笑顔」

「嫌だなぁ、佐藤くんったら。無理なんかしてな「してるだろ」


言い切る前に言葉を遮られる。
でもそれは図星で。俺は言い返す言葉を必死に探したが、結局何も出来ずにただ黙り込んでしまった。

そんな俺に見かねたのか、彼は溜め息を吐いてしゃがみこむ。


「お前のことはどちらかと言うと知ってるつもりだ。無理してるのもわかる」


――いや、わかってないよ。
だって佐藤くんは、今の俺の気持ちをわかっていないもの。


無表情だけど何処か雰囲気があると言うか、それなりに心配してくれてるんだろう。
でもそれは俺にとっては"大きなお世話"以下の何物でもなくて。
俺はただ佐藤くんを見つめた。

金色の髪の毛と眠そうな目は、いたって普通な学生の彼を悪く見せる。
俺は、似合ってるからいいと思うけれど。


「……なんか悩みがあんなら、遠慮すんなよ」


優しい言葉に涙が出そうになる。
俺は視線を逸らして俯いた。


頭に添えられた大きな佐藤くんの手が、異様に重たく感じた。



湿った夏風
(それは俺の思いと同じか)




気紛れで長編始めちゃいました((てへぺろ
しかも学パロって言うね。
なんとなくで始めたんでなんとなくで終わるかもですが、最後までお付き合い頂けると嬉しいです。


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