白色。桃色。薄紅色。紫色。

それぞれが少しずつ異なる色を纏い、円を描くようにふわりと広がり咲き誇る秋桜の花。

触れたら折れてしまいそうな程儚くか細い茎を束ねて赤いリボンをくるりと巻き結べば、手作りの花束の出来上がり。



「それもしかして、摘んできたのか?」
「うん。コスモスは秋の花代表だからね。」


出来上がったばかりの花束を手に相馬はにこにこと笑った。


「佐藤君のプレゼントは?」
「……………。」


少しだけばつが悪そうに目を泳がせながら、おずおずと佐藤が見せてきたものは。


「……あ、コスモス…。」
「…積んできたんだけど…見事にお前と被った。」


佐藤が手にしていたのは数十本の秋桜。こちらも柔らかな秋の色を乗せ美しく咲き誇っていた。


「………。」
「そ、そんなに落ち込まないでよ、例えプレゼントが被っちゃったとしても、お祝いしたいっていう気持ちが一番大事なんだからさ、ね?」
「……………そう、だな。」
「あ、ほらほら、佐藤君のコスモスもさ、リボンで飾り付けしようよ。何色がいーい?」


心なしかしゅんとしてしまった佐藤を慰めながら、相馬はいくつかリボンを取り出した。ピンク、赤、青、黄、緑、オレンジ、等々。


「いっぱいあるな。」
「うん、この日のために準備したんだ。好きな色選んでいーよ。」
「…じゃあ、」


これがいい、と相馬の手からするりと抜き取ったのは、青い色のリボン。
選んだ理由は相馬の色だから。その事実は決して口にはしなかったけれど、恐らく相馬は気付いてる。現に、少しだけ頬を染めながら、じゃあおれも、と先程秋桜に巻いた赤いリボンを解き黄色のリボンを巻き直しているから。


「でも…、やっぱり花束だけじゃ心許なくないか?」
「そう?
………あ、じゃあさ、手出して?」


潰さないよう優しく花束を胸に抱え込みながら、相馬はなんとか空けた両手で今し方秋桜から解いたばかりの赤いリボンを、しゅるしゅると器用に佐藤の手首に蝶結びで巻き付けていく。


「はい、ラッピングの出来上がり。よくあるでしょ、おれがプレゼントだ!みたいなさ。」
「ほぉ…俺を勝手にプレゼントにしやがって。お前も道連れにしてやる。」


仕返しに余っていた赤いリボンを同じように相馬の手首へ蝶結びしてやり、相馬という名のプレゼントが出来上がった。
手首に巻かれる感覚がくすぐったかったらしく、くすくすと笑みを零す相馬がとても可愛らしく見え、佐藤は思わずその唇に触れるだけのキスをしてしまった。

「わっ、急になにすんのさ」
「いや、なんとなく…」
「もう。」


全く怒っていないのにわざと怒ったふりをするところさえかわいく見えたが、今度はなんとかキスを我慢することができた。


「…喜んでくれるかなぁ。」
「どうだろうな。でも、気持ちだけでも伝わったら、嬉しい。」
「ふふ、そうだね。」





青いリボンが蝶を作る秋桜の花束と黄色のリボンが蝶を作る秋桜の花束を手に。

赤い蝶結びを自らの手首に。

心からの祝いたいという心とありがとうの気持ちを胸に。


少しだけ緊張してどきどきしている鼓動と共に。



佐藤と相馬は同時に息を吸い、そして、心からの言葉を、声に。




「「椿可鈴様、お誕生日おめでとう。」」


Happy birthday!!!







*'。+*'。+*'。+*'。+*'。+*'。+
嘘つきぴあにすとの碧威要様より誕生日祝いで頂きました!
まさかのプレゼントでもう発狂してしまいましたあああああ。
過呼吸ぱなかった^P^

可愛いさとそまありがとうございました!
要さん大好き!!


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