鈴の音が響く夜〜壱章「鈴の音と白き少女」〜




最初の鈴が響き
最初の命が消えた

空が明け
鳥は騒ぎ出した
普段との違いを告げている

戦慄の場に
人が集い
悲痛の声を上げた

多くの人
幾多の嘆き
様々な思い出
その場に立つ人々

蒼白の面色で
嘆く少女

近寄る事も出来ず
背ける事も出来ず
ただ立ち竦む

共に通い 共に学び
共に笑い 共に語らった
それは昨日の事
何の前触れも無く
終わりを告げ
もう何をしても
幾ら待ったとしても
誰に祈ろうとも
戻る事は有りえはしない





そう思った時
少女に届いた
小さく
それでいて
耳に残る
軽音・・・

・・・鈴の音・・・

鈴は白く光る
あの場に在りながら
汚されぬ白光(はっこう)
まるで
命を落とした
少女のような・・・

哀しみの淵に在る
少女は
それを拾う

再び鳴る鈴
少女は急いで顔を上げた

新たな涙の筋をつくる
既に懐かしい
あの声で
確かに呼ばれた
そう思い
涙が止まらない

















少女はまだ知らない
それは
これから起こる
悲劇に触れた事を
誰よりも嘆く
白き少女の
儚い声だと・・・

















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