逃避行 | ナノ





バチャバチャ音を立てながら、血で赤黒くなったスカートを洗う。これがまた落ちにくくて、綺麗になるまで三十分はかかる。毎回毎回分かっててやる私も私なんだけど。
しかしさすがに肌寒くなってきたから、そろそろ洗うのも本格的に辛くなってくる。冬はできるだけやめとこうかな。できるだけ。


「ただいまー…また洗ってるの?まなみ」

「おかえり母さん」


背中から疲れ気味の母さんの声が聞こえた。ああ、やっぱりもう少し早く帰ればよかった。


「ちょっと友達と遊んでたら汚れちゃって」

「いっつもそうじゃない…まあ元気なのはいいことだけどね。女の子なんだから、ケガには気をつけるのよ?」

「うん、分かってる」


それから最近学校ではどうだとか、そんなちょっとした話をして、母さんはキッチンに向かった。久しぶりに母さんの手料理が食べれる。そう思うと自然と頬が緩んで、私は母さんを手伝うために手を早めた。






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