そこは御愛嬌。 | ナノ
「真田ー」
「む、ああ、すまない叶井。先生に呼ばれてな」
うん、それ三回ぐらい聞いたからもういいよ。まあ忘れてなかったみたいだし、許してやろう。
「別にいいよ。で、用って?」
「ああ、そのことなのだが…テニス部に新しいマネージャーを入れようと考えている」
「マネージャー?」
みんなにそんな素振りは見えなかったし、新しいマネージャー希望が来ていた覚えもない。というか来ていたとしても私がマネージャーになった時みたいに結構なチェックがあるはずだから、そんなに簡単に受け入れるとは思えない。となれば、候補は一人しかいない。
「大村さん?」
「ああ。お前一人では何かと大変だろうと思ってな。この間の働きぶりでは充分にこなせるだろう」
「まあ確かに」
「それに…、この間の様子では、皆の士気も高まり、実際に各々の記録も伸びていたのでな」
それで適任、と。確かにみんなやる気が出ていた気がするし、記録も伸びていたなら本当にメリットなんだろう。特に赤也。
でもそれにしては、真田の表情があんまり良くないのは何故なのか。