「アニキたちは付き合ってるんすか?」
「は?」
翔の言葉に思わず素頓狂な声が出てしまったが、今はそれを気にしてる場合ではない。翔の言葉を頭の中で反芻し首を傾げた。
「付き合ってるって、俺と誰が?」
問い掛けると翔はどこか言いづらそうに視線を自分の隣にいる人物に向ける。
「翔、ヨハンがどうかしたのか?」
「あの、だから…二人は付き合ってるんすか…?」
翔の言葉に瞬いて、ヨハンと顔を見合わせて更に首を傾げた。
付き合ってる、なんてなぜそんな風に思うのか訳が分からない。ヨハンは大事な友達なのだから。
「何言ってるんだよ、俺達は友達だぜ、なあ?」
「ああ、翔、熱でもあるんじゃないか?」
ヨハンが一つ頷いて心配そうに翔を見やる、確かに熱でもあるのかもしれない、心配になって翔を見れば深い溜め息を吐いていた。
「…じゃあ、何で手を繋いでるんすか?」
そう言って翔が指差す先には自分の手とヨハンの手が重なってしっかり握られている。
「友達同士なんだから手ぐらい繋ぐだろ?」
なあ、と同意を求めヨハンの顔を見れば頷く。
すると翔は疲れ切った表情を浮かべうなだれた。
「もう、いいっす」
ふらふらとした足取りで去っていく翔を見送るとヨハンと顔を見合せる。
「何だったんだ?」
「さあ?」
手を繋いだまま二人揃って首を傾げるのだった。
END
title:確かに恋だった