「遊星って好きなやついんの？」
「え…？」
唐突な十代さんの質問に動揺し、思わず間抜けな声が出てしまった。
「…突然どうしたんですか？」
なるべく平静を装って問い返すと十代さんは僅かに首を傾げて明るく笑う。
「いや、遊星もてそうだからさ、ちょっと気になったんだ」
きらきらと好奇心に満ちた瞳を向けられ思わず目を逸らす。
どう答えたものか。
好きな人はいる、目の前に。だがそれを言うのは今の自分には無理で、十代さんに想いを告げ気持ち悪がられたらと思うととてもじゃないが告白なんて出来ない。
ひっそりと気付かれないように溜め息を吐いた。
「いるにはいますけど…」
「いんの？！」
十代さんのあまりの驚きぶりに一瞬たじろぐ。
そんなに意外なのだろうか。
「へー、ちょっと意外だな…遊星もデュエル一筋！って感じかと思ったぜ」
どこか感心したように十代さんは一つ頷いて、にっと笑った。
「俺、応援するぜ！遊星」
「え…？」
ぐっと親指を立て眩しいほどの笑顔で言う十代さんを呆然と見つめる。
応援をしてくれるのは嬉しいのだが、当人である十代さんにそう言われるというのは何だか微妙な気もするが考えようによってはチャンスとも言えないだろうか。
「…応援してくれるんですか？」
「おう！」
相変わらずきらきらとした笑顔をこちらに向けて力強く頷く十代さんの手をぎゅっと握る。
「十代さんが応援してくれるなら百人力です！」
だから、これから言うことを聞いて下さい。
あなたの応援があれば言えるんです。
「好きです、十代さん」
じっと目を見つめ、告げた言葉に十代さんが真っ赤になるまであと少し。
END
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