ちゅっ、と音をたて離れる温かな感触。
そっと目を開けると深い青の瞳がこちらを見つめていた。その瞳にはまだ熱がこもっていて、思わず目を逸らした。

「十代さん」

遊星に名前を呼ばれても目を合わすことが出来ない。
そんな風に呼ばないで欲しい、そんな熱のこもった目で。どんな顔をして良いのか分からなくなる。

「十代さん」

もう一度呼ばれて、頬を撫でられる。背筋がゾクッとする、嫌な感じではないのだが何だかいたたまれないような気がして。
どうしようか、と考えていると再び温かな感触が唇を覆う。

驚いてぎゅっと目を瞑る。
先程から何度となく繰り返される口付けに頭がくらくらしてくる、どうにかなりそうで怖い。
暫くして遊星が離れ、ゆっくり目を開ける。

「嫌でしたか?」

寂しそうにそう問われると嫌とは言えない、まあ元々嫌ではないのだが。
首を横に振ると遊星は嬉しそうに笑みを浮かべた。

「もう一度してもいいですか?」

遊星にそう問われ小さく苦笑を浮かべて一つ頷いた。

「遊星の気が済むまでしたらいい」

そう言って今度は自分から唇を合わせた。



END



title:確かに恋だった
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