不意に視線が絡まったかと思うと、引き寄せられてぎゅうと抱き締められた。
遊星、と名前を呼ぼうと口を開こうとしたら顎を持ち上げられ間近に遊星の顔があり思わず目を瞑ってしまう。
顔が熱くて多分真っ赤になっている。
恥ずかし過ぎて震える体が情けないと思いながら目を瞑り続けるが、予想していたコトは起きない。

「…?」

不思議に思いながらゆっくり目を開けると、くつくつと笑う遊星がいた。

「か、からかうなよ!」
「すみません」

じろりと遊星を睨むが、あまり効果はないようでいまだに小さく笑っている。
こっちはキスされるのかと思ってドキドキしたのに、何だか悔しい。

「十代さん可愛かったですよ」

顎を持ち上げた遊星の指が唇を撫でる。

「嬉しくない」

可愛いは嬉しくない、好きな奴に言われるとしても。頬を膨らませ目を逸らせば、困った様な表情の遊星が視界の端の映る。
少し仕返しが出来た気がして、こっそり笑うと視線を戻し遊星をまっすぐ見つめた。

「遊星」

名前を呼んで、自分から唇を合わせた。
触れるだけですぐに離れる、遊星は本当にびっくりしてる様で固まっていた。
その様子に満足し、笑ってみせた。



END



title:確かに恋だった
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