カッとなってやった。
反省も後悔もしてない。

目の前に広がる光景はまるで泥棒にでも入られたのかのようだ。乱雑に放り出された本や日用品。それに工具。
そのなかで困ったように眉を寄せる遊星に気付かれないようひっそりと苦笑を浮かべた。

「(探しても無駄なのになあ…)」

遊星が探しているのはいつも身に付けている手袋だ。
だがどんなに探しても見つかるはずがない、何せ隠したのは俺で隠し場所も遊星では分からない。
手袋ひとつでここまで遊星が困るとは思わなかったが、いつも冷静な遊星が困りきった表情をするのは見ていて愉しい。遊星に気付かれないように薄く笑う。
だって遊星が悪いのだ。
俺に触れる時に手袋をしたままで、直に触るのが申し訳ないと言う。
それでカッとなって、隠してやった。

「(さて、どうしてやろうかな)」

考えるだけでわくわくしてくる、デュエルでは味わえない高揚感が胸に広がる。
ゆっくり遊星に近づいて、その素手に自分の手を重ねた。

「っ!十、代…さん?」

びくりと体を震わせ、目を見開いてこちらを見る遊星に小さく苦笑する。
そんなに驚かなくてもいいのに。
遊星が逃げてしまわないようにしっかり手を握り、にっこりと笑みを浮かべる。

「手袋隠したの俺なんだ」
「え?」

俺の言葉に固まってしまった遊星に構わず続ける。

「俺の服のなかに隠してある、探してみるか?」

にぃと口の端を吊り上げて言えば、遊星の顔がみるみる赤くなっていく。
遊星のその表情に満足しながら、更に笑みを深めた。



END



title:ARIA
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