誕生日プレゼントと言えばと黄瀬は考える。

「(定番なのはアクセサリー、ただ黒子っちはあんま付けないか)」

黄瀬はせっかくなら喜んでくれるもの、使ってくれるもの、消えてなくなるものでなく残るものが良いと思っている。
バスケに関係するものも考えたが、基本的に消耗品だ。黒子は使ってはくれるだろうが、なくなってしまうのがなんとなく嫌だ。
うーんと唸りながら、黄瀬が思案していると携帯電話が鳴り響く。
ディスプレイに『黒子っち』と表示されており、黄瀬は慌てて通話ボタンを押す。

「もしもし、黒子っち?」

黄瀬の言葉にはい、と小さな返事が返ってくる。
今まさに考えていた人物からの電話に黄瀬は何となく緊張していた。

『今電話大丈夫でしたか?』
「もちろん大丈夫っスよ!て言うか、黒子っちならいつでも大歓迎っス!」

黄瀬はなるべく明るく言うと、黒子は僅かに沈黙したあとあの、と声をかける。

『黄瀬君、何かあったんですか?』
「…え?」
『その…声がちょっと元気がないような気がして』

違ったらすいません、と黒子は言うが声には気遣う色がにじみ出ている。
黄瀬は何とも言えない気持ちになる。嬉しいような、言葉にするのは難しい感情が胸に溢れる。
深く息を吐くと、黄瀬は苦笑を浮かべる。

「黒子っちには分かっちゃうんスね…実はちょっと悩み事が…」
『ボクで良ければ、話聞きますよ』

黒子の声音はどこまでも真摯だ。黄瀬は自分のことを本当に心配しているのが分かって思わず頬がゆるむ。

「その…黒子っちへの誕生日プレゼント、なんスけど…」
『はい?』

黒子の予想していたような深刻な悩みではないことに、思わず疑問符がついてしまう。黒子はそういえば、もうすぐ自分の誕生日だと気づいた。

「黒子っちって何を貰ったら嬉しいっスか?」

黄瀬の問いに黒子は僅かに逡巡する。
色々と考えても共通することがすぐに見つかって黒子は小さく笑う。

『黄瀬君がくれるもの、がボクにとって嬉しいです』

黄瀬は黒子が小さく笑いながら言う言葉に、顔が熱くなるのを感じる。

「あ〜…それって、俺自身でもOKってことっスか?」

『……はい』

黄瀬としては照れ隠しで言ったのだが思わぬ黒子の返事に更に顔が熱くなる。
黄瀬は片手で頬に触れると指先にじわりと熱を感じ、何となく恥ずかしくなった。
「じゃ、じゃあ…た誕生日楽しみにしてて欲しいっス」
『はい、楽しみにしてます』

黄瀬がひとつ深呼吸して何とか言葉を絞り出しているのとは対称的に黒子は楽しげに笑った。

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -