一月三十一日は黒子テツヤの誕生日だ。相棒兼恋人である火神大我は何か贈ろうと思案していたが、良い案が浮かばず途方にくれていた。
生来迷う気質でない火神は直接黒子にたずねることにした。

「黒子、誕生日プレゼントは何か欲しいもんあるか?」

火神の言葉に黒子は目をぱちりと瞬かせた。
まさか火神が誕生日を覚えていたなんて、しかもプレゼントとくれると。あまりそんなことに気を使えるとは黒子は思っておらず、驚いてまじまじと火神を見つめた。

「火神君がそんなこと考えていたなんて…意外です」

ぽつりと呟いた黒子に火神はムッと眉を寄せた。

「意外とってなんだよ、一応恋人の誕生日に何かしたいって思うのは普通だろ」

どこか拗ねたような火神の物言いに黒子は再び目を瞬かせ、ふいと火神から顔を逸らした。
黒子の頬は微かに赤く染まっていて、火神は思わずその頬を凝視してしまう。
普段表情の変化があまりない黒子の照れた様子が珍しく、そして火神は欲目もあってか可愛いと思ってしまう。

「火神君…」

黒子は視線だけ火神に向け、名前を呼ぶと僅かに首を傾げる。

「プレゼントは、モノじゃなくても…いいでしょうか?」

頬を染めたまま見上げる黒子に火神はどきりと心臓が高鳴る。

「あ、ああ…」
「そうですか」

黒子は思案するように僅かに目を閉じ、口を開いた。

「ボクのこと…名前で呼んでくれませんか?」

黒子の言葉に火神は目を見開いた。
名前で呼ぶ。火神は出会った当初から黒子と名字で呼んでいる、恋人同士になってからもそれは変わらず、それを名前で呼ぶなど何とも気恥ずかしい気がして少し躊躇ってしまう。
だが、せっかく黒子が誕生日のプレゼントとして望んでいることを叶えてやりたいと火神は思う。

「分かったよ…」

火神は自分の顔が熱くなり、今までに感じたことのない緊張がはしる。ひとつ深呼吸をし、黒子をじっと見つめる。

「…テツヤ」

火神が呼ぶと黒子は一瞬息をのむとふわりとした笑みを浮かべた。

「ありがとうございます、とても嬉しいプレゼントです」

本当に嬉しそうに微笑む黒子に火神も笑みを返し、赤く染まる頬にそっと手を伸ばした。

「Happy birthday!」

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