「緑間君」

黒子はが小さく手を上げ、呼ぶと緑間は僅かに首を傾げ黒子を見下ろした。

「何だ?」
「これからの予定は決まっていますか?」

緑間は唐突だ、と思いながらも考える。
今日、黒子と緑間は待ち合わせをし、映画を見て、食事をした。
二人は付き合っており、恋人同士で所謂デートをしている。特にこれから何をするか、どこに行くかは決めてはいない。
緑間は黒子が何を考えているか分からないことがたまにある。黒子はこれから何をしようというのか、緑間は眼鏡のブリッジを押し上げて口を開いた。

「特には決めてない、な」

緑間の言葉に黒子はほんのり口元を綻ばせた。緑間はそんな黒子の様子に内心首を傾げながら反応を待つ。

「服を見に行きませんか?」

服、と呟いて緑間は首を傾げた。やはり黒子の考えがよく分からない。
黒子はこくりとひとつ頷く。

「その…恋人の服を選んでみたいな、と…思いまして」

そう言う黒子の頬は赤く染まっていて、つい緑間は見いってしまう。
緑間はそんな様子の黒子可愛い、と思うがなるべく表情には出さないようにするが、自然と頬が緩む。

「まあ…別に、構わないのだよ」

黒子に顔を見られないように緑間は眼鏡のブリッジを押し上げ、少し顔を逸らす。黒子は嬉しげにくすりと小さく笑うと、緑間の手をとった。

「はい、ありがとうございます」



緑間とともに店内へと入った黒子は目に入った服を手に取り、緑間に見せた。

「緑間君、こんなのがありますよ」

どこか楽しそうに緑間に見せた服は『眼鏡男子』とプリントされていた。
黒子は服を緑間に当てると、似合いますよと小さく笑った。言われた緑間は複雑な表情を浮かべていた。
恋人に選んでもらったのは嬉しいが、このデザインはどうなのかと。
だが、それを口にするのは躊躇われる、あまり表情を表すことがない黒子が楽しそうに笑っていて、緑間はもう少しそんな黒子を見ていたいと思うのだ。

「あ、こういうのもありますよ」

そう言って黒子は持っていた服を置いて、新しい服を次々と緑間に当てその度に首をちょっと傾げ、これも似合いますと楽しげにと頷いた。緑間は小さく苦笑を浮かべて黒子の頭を軽く叩くように撫でる。

「時間はまだある、ゆっくり選ぶと良いのだよ。何ならオレもお前に選んでやるのだよ」

ふっと小さく笑う緑間に黒子は一瞬目を見開いて、ついと目を逸らし頬を赤く染めた。

「…お願いします」
「了解したのだよ」

緑間は満足そうに笑うと黒子の手をとった。繋いだ手から伝わる温もりに、お互い笑みを浮かべ合った。



END

32523hitキリリク、浅緋様に捧げます。
緑黒で甘々デートということで、素敵なリクエストありがとうございました(^-^)
少しでも楽しんで頂ければ幸いです!

title:寡黙
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