おめでとうございます、という言葉とともに差し出された包みと相変わらず無表情の黒子を交互に見やり黄瀬は目を瞬かせた。

「えっと…?」

訳が分からないと言った様子の黄瀬に、黒子は僅かに首を傾げた。

「今日、黄瀬君誕生日ですよね?」
「ああっ!」

黒子の言葉に黄瀬は手を叩く。それで黒子がおめでとうございます、と言ったのかと納得した。
そして、微かに黄瀬は頬を染め黒子から包みを受け取る。

「ありがとっス、まさか黒子っちが誕生日を祝ってくれるなんて…」

黄瀬は嬉しくてたまらないという様子で笑みを浮かべた。
そんな黄瀬から黒子は僅かに視線を外し、ほんの微かに頬を赤くした。

「一応、恋人…ですし、」

呟くように言った黒子の言葉に黄瀬はますます笑みを深める。
黒子はこういったイベントごとは気にしない方かと思っていた黄瀬は予想外のことに、嬉しくてたまらない。普段淡々としていて、自分の一方通行なんじゃないかとたまに思ってしまうから、黒子がちゃんと言葉や行動で恋人同士だと示すのが本当に嬉しいのだ。

「これ、開けてもいいスか?」
「はい」

黒子が頷いたのを確認して、黄瀬は包みを開けた。
中にはリストバンドが入っていた。

「ボクの使ってるのと色違いのやつです」
「ってことは…黒子っちとお揃い?」

黒子は顔を赤くし、そうなりますね、と呟いた。
ぱっと明るい笑みを浮かべて黄瀬は黒子を抱き締めた。

「き、黄瀬君?」

突然のことに黒子は慌てながら黄瀬を見上げるが、黄瀬は相変わらず笑みを浮かべたままぎゅっと黒子を抱き締める。

「黒子っち、大好きっス!」
「…ボクも、黄瀬君が大好きですよ…誕生日おめでとうございます」

黒子は驚きながらも、微かに笑みを浮かべると、黄瀬を抱き返した。


Happy birthday!


END

title:寡黙
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