「十代さん」

呼ばれて目を開けるとこちらを見下ろす遊星と目が合った。暖かい陽射しが心地よく、屋上で昼寝をしていたのだが。
一度瞬いて口を開く。

「どうしたんだ?遊星」

寝転がったまま問えば、遊星は複雑な表情を浮かべる。

「…授業にいきませんか?」
「いかない」

即答するとますます複雑な表情になった。
こんなにサボり日和なのに授業を受けるなんて考えられない。

「卒業が危うくなりますよ?」
「大丈夫だって、補習受けてるし、出席日数だって足りてるし」

遊星の言葉ににっと笑いながら答えていけば、遊星は本当に困った様な表情になる。遊星は真面目でサボりなんてした事がないし、補習授業だって受けた事がない。だから心配なんだろうけど、自分の事を心配してくれているのは分かる、それに応えてやりたい気持ちもあるがそれよりもう少し遊星の困った様な表情を見てみたいと思う。
自分でも性格悪いんじゃないかと思うが、好きな奴の色んな表情を見てみたいと思うのは普通の事だと思う。

「遊星」

呼んで手招きすると躊躇わず近寄ってくる、もう少し警戒とかしてもいいと思うんだけど、僅かに苦笑を浮かべて思い切り引き寄せた。

「?!」

バランスを崩してこちらに倒れこむ遊星の肩をしっかり抱いた。

「っ…十代、さん?」

くっついているから遊星の心臓が忙しなく鳴っているのが分かる、おそるおそる名前を呼ぶ遊星に小さく笑みを浮かべた。
こうしていれば遊星は逃げる事はないだろう、俺の手を振り払うなんて出来ないんだから。
肩を抱く腕を緩め、遊星の顔をこちらに向けさせる。

「遊星もサボろうぜ」

にっこりと笑みを浮かべるて言えば、遊星は顔を真っ赤にした。
遊星が小さく息を吐いたかと思うと一つ頷く。

「…分かりました」

遊星の言葉に満足し、笑みを深めて抱き締めた。



END



title:確かに恋だった
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