授業の終わりを告げるチャイムが鳴ると、黄瀬はすぐさま振り返る。
「黒子っち、一緒に部活行こ!」
黄瀬はにこにこと笑みを浮かべて黒子を見つめた。黒子は教科書をカバンへ仕舞ながら目をぱちりと瞬かせた。
「黄瀬君、何だか機嫌が良いですね」
常日頃から黄瀬はテンションが高めではあるが、今日はいつもより高く感じる。何か良いことでもあったのだろうかと黒子は僅かに首を傾げた。
「いや、黒子っちとまた一緒にバスケ出来ると思うと嬉しくてつい」
「…そうですか」
照れたように頬を掻く黄瀬に黒子は淡々とした口調で答え、小さく息を吐いた。
「黒子っち冷たいっス」
そんな黒子に黄瀬は傷ついたとばかりに胸を押さえる。黒子は気にした様子なくさっさと荷物をまとめると教室の戸まで歩いていく。
「黄瀬君置いていきますよ」
「わわっ、ちょっと待って欲しいっス!」
黄瀬は慌てて準備するとカバンを引っ掴み、黒子のあとを追う。
隣に並んで廊下を歩いているとふいに黒子が口を開いた。
「…ボクも黄瀬君と一緒にバスケ出来るの、嬉しいですよ」
口調は淡々としているがほんの少し口元がほころんでいるのを黄瀬は見逃さなかった。胸の奥がきゅんとときめいたのを感じながら黒子を思い切り抱きしめた。
「黒子っち、大好きっス!」
勢い余って黒子が潰され気絶してしまい二人が部活に遅刻してしまうのはまた別の話。