黄瀬は新鮮な気持ちで黒子を見上げていた。浅く椅子に腰掛けて、いつもは見下ろしている黒子を見上げるというのはなかなかないことだ。黒子の表情がはっきりと見える。
黒子は困惑気味に目線を彷徨わせ、僅かに頬を朱に染めている。黄瀬は頬が緩みそうになるのを何とか耐える。
ことの発端は黄瀬が黒子にキスして欲しいと言ったのだ。常に黄瀬からしているのだがたまには黒子からキスをして欲しいと思ったのだ。

「(可愛いなぁ、このまま食べちゃいたいっスね)」

普段表情に乏しい黒子が羞恥に頬を染める姿はなかなかそそられるものがあるがここで欲望のまま行動すれば黒子を傷つけ、二度と触れることが出来なくなるかもしれない。

「(それに泣いちゃうかもしれないし)」

好きな子はなるべく泣かせたくないと黄瀬は思う。そろそろ引いてあげないと黒子が困りきってしまうだろう。

「黒子っち」

黄瀬は黒子の腰を引き寄せて自分の膝に乗せるようにする。
びくりと震える黒子を安心させるように優しく背を撫でる。黒子はそろりと黄瀬の顔を覗き込むように見つめた。

「黄、瀬…君」

緊張しているのか黒子の声が僅かに震えている。黄瀬は笑みを浮かべて黒子の頬を両手で包む。

「やっぱ、俺からキスして良いっスか?」

黄瀬が問えば黒子は小さく頷いた。黄瀬は笑みを深めて黒子に口付ける。

「…ん……」
「……っ、黒子っち…好きっス…」

黄瀬がぎゅっと抱き締めれば黒子も答えるように抱き返した。



END

title:瑠璃
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