「お」
「あ」
高尾は見知った姿を見つけ思わず声が出た、相手も高尾に気付き驚いたように目を瞬かせている。
「黒子だよな、何してんの?」
私服姿の黒子をまじまじと見ながら高尾は問いかけた。ユニフォームやジャージは見たことがあるが私服は何だか新鮮に見える。
「本を買いに…新刊が出てたので」
黒子は手に持つビニール袋を掲げて僅かに笑みを浮かべる。どこか嬉しそうな黒子の様子に高尾は妙な感覚を覚える。
心臓がどくりと鳴ったかと思ったら忙しなく鳴り続ける。緊張感にも似ているが嫌な感じではなく高尾は内心首を傾げた。
「へー、本読むのか」
「趣味なんです、読書」
「ふーん…それ面白い?」
高尾は黒子の持つ本を差すと黒子はゆると首を傾げる。
「ボクは面白いですけど…良ければ前の巻貸しましょうか?」
思わぬ黒子の提案に高尾は目を見開いて見つめる。
「良いのか?」
「はい、もちろん」
小さく笑みを浮かべる黒子に高尾は更に胸が高鳴るのを感じた。
「…じゃあ都合良い日連絡するな」
「はい、待ってます」
二人は連絡先を交換すると、次に会う約束をした。どこか嬉しそうな黒子に高尾もつられて嬉しくなる。
「(こういうの何て言うっけ?)」
高尾は高鳴る鼓動を感じながら首を傾げつつも、黒子の笑みを見ているとまあ良いかと思う。
次に黒子に会うのを楽しみにしつつ高尾は笑顔を浮かべた。
END
title:ごめんねママ