※バレンタインネタ
バレンタインは好きだなと紫原は思う。何せチョコレートが貰えるからだ。
女子からは勿論だが、甘いものが苦手なチームメイトからも貰える。今現在、紫原の前にはチョコレートの入った箱や包みが山のように積みあがっている。
ふにゃりとした笑みを浮かべて紫原は次々とチョコレートを口へ運んでいく。
「…凄い、ですね」
紫原の隣にいる黒子が感心したような呆れていたような調子で息を吐く。
数は勿論驚きだが、それを次々と胃へ収めていく紫原にも驚きだ。
「チョコばかりで飽きませんか?」
「飽きないよ〜」
黒子が問えば何でもないように答えてチョコレートを食べていく紫原。
「甘くて美味しいし」
紫原は指に付いてしまったチョコレートを舐め取るとふにゃふにゃした笑みを黒子へと向けると無表情のままそうですか、と頷いた。
「ねぇねぇ、黒ちん」
紫原がチョコレートを食べるのを止め、黒子を覗き込むように見つめる。
黒子は僅かに首を傾げ、紫原を見つめ返す。
「黒ちんはチョコくれないの?」
「え?」
紫原の言葉に黒子は目を瞬かせる。
「黒ちんから欲しいな、チョコ」
子どものように無邪気に笑う紫原に黒子は心臓が高鳴るのを感じ、頬が熱くなる。
「…後で良ければ、あげますよ」
まともに紫原を見ることが出来ず、黒子は視線を逸らして答えた。
「うん!楽しみにしてる」
元気よく答えた紫原はひどく嬉しげに笑って、黒子を抱き締めた。
title:瑠璃