隣でふにゃりと緩んだ笑顔を浮かべる黄瀬に対し、黒子は表情に出さず僅かに呆れていた。
黒子はゆると首を傾げて黄瀬を見つめる。
「そんなに浮かれることですか?」
「当たり前っスよ!初めての記念日っスよ、大切に決まってるじゃないっスか!」
拳を握り締め力説する黄瀬にそんなものだろうか、と黒子は更に首を傾げる。
今日という日は黒子と黄瀬が付き合い始めて一年になる日だ。黄瀬曰く記念日なのだから二人きりで過ごしたいと言われ黒子も承諾したのだが、あまりの黄瀬の浮かれっぷりが不思議でならない。
「…黒子っちは、あんまり嬉しくないスか?」
しゅんと肩を落とし、微かに寂しさを滲ませた声に黒子は目を瞬かせる。
僅かに逡巡し首を横に振る。
「いえ、ボクは黄瀬君が嬉しいなら…嬉しい、ですよ」
黒子の言葉が徐々に小さくなり、頬が赤く染まっている。黄瀬は目を大きく開き、じっと見つめたかと思うと満面の笑みを浮かべ黒子に抱きついた。
「黒子っち、可愛いっス!」
「…微妙に嬉しくありません」
黒子はどこか拗ねたように言うが黄瀬は気にした様子もなくぎゅうぎゅうと抱き締め続けた。
「大好きっス!」
「ボクも…です」
黄瀬の言葉に黒子は小さく微笑んで抱き返した。
END
title:瑠璃