ふと後ろを振り返る。そこには今まで歩いてきた道がどこまでも続いてじっと見つめているとすぐ傍にユベルが黒い翼を広げ現れると小さく首を傾げた。

『どうしたんだい?十代』

左右違う色の瞳がどこか心配そうにこちらを見つめてくる。暫くしてからユベルへ視線を向けると微かに笑みを浮かべた。

「いや、特に意味はねえけど…」

再びユベルから視線を外し、歩いてきた道を見つめる。

「随分、遠くまで来ちまったよな」

小さく呟いた言葉にユベルは困惑している風だ、融合しているとはいえ流石に自分の内心までは共有出来ないようだ。
するとすぐ傍に気配が増えた、視線だけ向けるとアクア・ルフィンやエア・ハミングバード、グラン・モール、自分のデッキのヒーローたちが現れていた。

『らしくないな、十代』
『珍しく感傷的になってるのか?』
「感傷…とはちょっと違うんだけどさ」

ヒーローたちの問いかけに僅かに苦笑を浮かべて答える。

「どこまで続けていくんだろうなって…いつまで一緒にいられるんだろうな…」

つい要らぬことまで言ってしまい慌てて口を閉じる。感傷的になってるつもりはなかったが、こうも長い間彼らと旅をしているとふと思ってしまう。
あくまで自分は人で彼らはカードに宿る精霊、いつか別れの時が来るのではないかと漠然と考えることがある。共に戦ってきた頼もしい仲間たち。
一度考えてしまうとどうしようもなく不安になって自然と俯いてしまう。すると肩に力強いものを感じ顔を上げるとネオスが静かにこちらを見つめていた。

「ネオス…?」
『大丈夫だ』

肩に置かれた手と同じくらい力強い声だった。目を瞬かせじっとネオスを見やるとどこか微笑んでいるようだ。

『大丈夫だ。皆ずっと十代と共にいる』

胸にあった重苦しいものがすうと消えていく。周りを見れば皆が安心させるように微笑んでいる。

「…皆、」

胸の奥が熱くなり、自然と笑みがこぼれる。
彼らがずっと一緒だと言うのだからきっと大丈夫だと思える。

「(ずっと一緒だ)」

一度目を閉じ、振り返って前を見据える。これから進む道もどこまでも続いている。
その道をこれからも彼らと共に歩いていく。



END



24242hitキリリク、匿名様に捧げます。
大変お待たせして申し訳ありません;キリリクありがとうございました!
遊戯王GXで十代と彼のデッキのヒーローたちの話とのことで、一生懸命書かせて頂きました。少しでも楽しんで頂ければ幸いです!
素敵なリクエストありがとうございました(^-^)

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