鼻腔をくすぐる旨そうな臭いにごくり、と喉が鳴る。
温かな湯気のでる色とりどりの料理が並ぶ。

「どうぞ、トリコさん!」

にこにこと楽しそうに笑って料理をテーブルへと置いていく小松ににっと笑みを返して手を合わせる。

「いただきます」

口に入れれば予想通りの旨さが広がる。

「うまい!」
「今日は特別腕に寄りをかけましたからね、どんどん食べて下さい!」

そう言って次々に料理を作りテーブルに並べていく。
小松の言葉に自然と頬が緩む、この小さくも頼もしい相棒が自分の為に今日という日を精一杯祝ってくれている。
5月25日、今日は自分の誕生日だ。二十半ばを過ぎて誕生日に浮かれるなんて思わなかったが小松に祝われるのが嬉しいのだ。

「トリコさん」

テーブルに並べられたすべての料理を平らげると、小松が名前を呼ぶ。
何だ、と僅かに首を傾げると大きなバースデーケーキをテーブルに置いた。

「誕生日おめでとうございます!」

まるで自分のことのように嬉しげに笑う小松。
胸の奥から温かな気持ちが溢れてくる。

「(ああ…幸せ、だな)」

小松にありがとなと言って、にっと笑うとその小さな頭を撫でた。



END



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