その小さく温かな手が自分に躊躇なく触れるたびに何だか泣きたくなる。
普通毒人間だと知ったら離れていくのに、彼はそんなこと何でもないみたいに僕に近付いてその温もりを分けてくれる。
小松くんは僕の大切な友達、否友人以上の感情を抱いている。
いつか自分が彼を傷つけてしまうのではないかと想像するだけで胸がひどく痛んだ。

「小松くん、」

名前を呼ぶと小松くんは大きな目を瞬かせ僅かに首を傾げる。

「もう、僕に触れないでくれ」

僕の言葉に小松くんの目がみるみる潤んでそこからぼたりと大粒の涙がこぼれ落ちた。その姿を見ないように背を向ける。
ずきりずきりと抉られるような痛みが胸を襲う。
それでもこれ以上小松くんと一緒にいることは出来ない。振り返ることもなく歩きだす。
何故か視界が滲んで頬に冷たいものが伝った。



END

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