「すげえな…」
満開の桜を見上げながらほうっとほんのり興奮に頬を染め呟く十代さんに小さく笑みを浮かべる。
「ここ穴場なんです、ゆっくり花見が出来ますよ」
そう言ってレジャーシートを広げると軽く叩いて十代さんに座るよう促す。
「ありがとな!遊星」
十代さんは嬉しそうに笑って座る。その隣に自分も腰を下ろすと桜を見上げた。
薄紅色の花弁が見事に咲いていて、どこか浮き足立って自然と微笑む。
「あ、俺弁当作ってきました」
朝早くから気合いを入れて準備した弁当。味はもちろんだが、彩りや栄養バランス、そして十代さんの好みを考え抜いて作った自信作。
期待に目を輝かせている十代さんは弁当箱に釘付けだ。僅かに緊張しながら蓋を開ける。
「おぉ、すげえ美味そう!」
十代さんがうきうきとした様子で言うのに嬉しさと気恥ずかしさで頬が赤くなる。
「食っても良いか?」
「はい、どうぞ」
きらきらと目を輝かせながら問う十代さんに頷いて箸を手渡した。いただきます、と手を合わせエビフライを取り口に入れる。
「っんまい!」
どこか幸せそうな笑顔でそう言われて嬉しくないわけない。自然と頬が緩んでいくのが分かる。
頑張って準備した甲斐があるというものだ。
「良かった、たくさんあるので遠慮なく食べてくださいね」
「サンキューな、遊星!お前も食べろよ。ほら」
目の前に差し出されたのはエビフライ。十代さんの好物だから大量に作って詰めたのだ。それが十代さんの手によって自分に差し出されている、これは俗に言うあーんというやつだ。
心臓が大きく跳ねた。自分の顔が真っ赤になっていくのが分かる。
これは何のご褒美だ。
周りに誰もいないから見られたりすることはないだろう、だが嬉しさより緊張が増して上手く体が動かない。
十代さんはにこにこと笑みを浮かべながら俺が口を開くまで待っている。
こくりと喉が鳴る。いつまでも十代さんを待たせるわけにはいかない、覚悟を決めて口を開く。
「あ…あーん」
十代さんの手によって口の中に入れられるエビフライ。事前に味見した時よりも数倍美味しく感じる。
「(うわッ、何だコレ。幸せすぎる…)」
頬が緩むのを止められない、じわじわと顔が赤くなっていく。
十代さんも嬉しげに、少し頬を染めて微笑んでいる。
はらり、はらりと薄紅色の花弁が舞う中で十代さんと一緒に穏やかに過ごせる。これ以上の幸せはないだろうと感じながら満開の桜を見上げた。
END
23632hitキリリク、K&T様に捧げます。
キリリクありがとうございました!遊十で甘い感じのお花見デートということで。素敵なリクエストありがとうございます!お花見デートとか萌シチュです(^-^)
少しでも楽しんで頂ければ幸いです!
title:意味