真っ直ぐに見つめ返される鳶色の瞳に心臓がひとつ大きく鳴ったのを憶えている。
今まで感じたことのない胸の高鳴りにひどく戸惑ってしまい、時間だけが過ぎていった。
同じ時間を共有できたのはほんの僅かでもっと色々な話をしたかったし、もっと一緒に居たかった。
また会えると根拠のない確信はあった。けれど、それでも不安感は拭えなかった。
もしも会うことが出来なかったら、と思うと胸が締め付けられて苦しくなる。
「はぁ……」
溜め息ばかりが唇から零れた。
どうしてこんな気持ちになるのか分からず、随分と悩んで周りを心配させたようだった。
(だが、自分でも分からないこの感情をどう説明したらいいのか……)
溜め息と一緒に胸にあるこのモヤモヤしたものもなくなってしまえばいいのに、とまた深い溜め息を吐いた。
「………さっきから溜め息ばっかだな。何か悩んでるのか?」
「え?」
声のした方へ振り返ると、先程まで思い描いていた人がいた。
あれから随分と時間が経っているはずなのに、変わらぬ姿であの時と同じように真っ直ぐに見つめてくる瞳に鼓動が速くなった。
「十代、さん?」
「おう!」
明るく笑った顔もあの時のままで、変わっていなかった。
「どうして、」
「ん?遊星に会いに来た」
「えっ?」
驚いて間の抜けた声が出た。
「俺はユベルと一緒だからさ、変わらないんだ。だから遊星に会いに来れたんだ」
太陽みたいな笑顔にまた鼓動が速くなった。
会いに来てくれたことが嬉しくて、じわりと胸に溢れる想いにやっとそれの名前が分かった。
「十代さん、話したいことがあるんです」
「おう!いっぱい話そうぜ。そんでいっぱいデュエルしようぜ!」
キラキラと輝く瞳に愛おしく微笑んだ。
サイト2周年記念にTeufelskreisの藍様より頂いた遊十です!
ジャンル違うのに書いて頂いちゃいました^^
きゅんきゅんさせて頂きました!ありがとうございます!
Title by TRAP TRASH