※学パロ
遊星先輩、十代後輩
じっと何か言いたげな視線がさっきから背中に突き刺さる。
どうしたものかと思案し、視線の主を見やると逸らすことなくこちらを見つめていた。
「あの、十代さん?俺に何か…」
「それ!」
用ですか、と問う前に遮られ指を差される。
それとはどれなのか、人に指を差してはいけない、そんなに真っ直ぐこちらを見つめないで欲しい。言いたいことはたくさんあるが十代さんの勢いに圧されて言葉が出ない。
そんな俺を余所に十代さんはずいと顔近付け睨み付けるように見つめる。
「その敬語!何で後輩の俺に敬語使うんだよ」
頬を僅かに膨らませ拗ねたような表情に目を瞬かせる。
こういう表情ははやり年下なのだなと妙な感心をしつつ、首を傾げる。
「何でと言われましても…」
自分でも何故か分からないが十代さんに対して敬語を使ってしまう。
他の後輩にはそんなことはない、十代さんにだけだ。それは何故だろうか、と考えてみるが答えは見つからない。
「……分かりません」
苦笑を浮かべてそう答えると十代さんは不満そうに唇を尖らせる。
「分かんないってなんだよ」
いまだに納得いかないようでこちらを睨むように見つめる十代さんが少し幼く見え、小さく笑みを浮かべる。
「あ、もしかしたら…十代さんが俺にとって特別だからかもしれません」
ふと思いついたままに笑みを浮かべて言えば、十代さんはひどく複雑そうな表情を浮かべた。
「十代さん?」
「いや、これ喜んでいいのか…悲しんでいいのか…まあ、特別なら少しは喜んでいいのか」
不思議に思い十代さんを覗き込むが、一人納得したようにうんうん、と頷いていた。
よく分からないが十代さんは納得したようだ。微かに笑みも浮かべているし、良かったと思いこちらも笑みを浮かべる。
「あ、遊星」
「はい?」
「俺も遊星は特別、だからな」
そう言って満足げに笑った十代さんに心臓がどきりと高鳴り顔が熱くなっていく。
「(…やはり、十代さんには敵わない)」
嫌な気分ではないが、何とも言えず照れてしまう。
片手で赤くなった顔を隠しつつ、十代さんに気付かれないように小さく息を吐いた。
END
title:Aコース