※似非関西弁注意。


「お嬢ちゃん」

呼べば柔らかな茶髪を揺らし、振り返り小首を傾げる。

「忍足さん、どうされたんですか?」

何かお手伝いでも、と続けるお嬢ちゃんに手を振り違うと伝わるとにこりと笑みを浮かべる。

「最近、謙也とどないや?」
「えっ?」

お嬢ちゃんは目を見開いたかと思うと、恥ずかしそうに俯いて頬を赤く染める。
可愛らしい反応に小さく笑うとお嬢ちゃんは怪訝そうにこちらを見上げてくる。

「何ですか?」
「いや、お嬢ちゃんは可愛ええなぁと思てな」

笑いながらさらさらとした髪を撫でる。
どう反応して良いか分からないようでお嬢ちゃんはされるがままだ。

「で、謙也とはどないなん?」
「…な、仲良くはさせてもらってます、よ?」
「何で最後が疑問系なん?」

苦笑しながら聞くとお嬢ちゃんは言葉を詰まらせる。
まあ、大方想像はつく。あのヘタレのことやから積極的にアプローチとかかけられへんのやろな。
お嬢ちゃんもお嬢ちゃんでなかなか好きな気持ちを伝えられへん。
見ててもどかしいちゅーか、むず痒いちゅーか。出来れば上手くいって欲しい。

「お、噂をすれば」

お嬢ちゃんの肩ごしに謙也が物凄い勢いでこちらへ向かってきた。
流石は浪速のスピードスター、あっちゅーまに俺の目の前までやってくるとお嬢ちゃんとの間に割って入る。

「何してんねん、侑士!」

こちらをじろりと睨み付ける謙也に肩をすくめてみせ、別に何でもあらへんと言ってにやりと笑うと眉をしかめる。

「じゃあ、お嬢ちゃんお気張りや」

にこりと笑って手を振るとお嬢ちゃんは再び顔を赤く染めた。
謙也は不機嫌そうな顔しとったけど、お嬢ちゃんと話せば上機嫌になるやろ。
これからあの二人がどうなるか、余計な世話なんかもしれんが暫く見守ろうと決め、小さく笑った。



終わり



title:確かに恋だった
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