深い溜め息がこぼれる。
最近自分の体調がおかしい。不意に動悸が激しくなったかと思えば、ぎゅうと締め付けられるかの様に胸が苦しくなる。
何故、と思い悩んだ結果分かったことがある。時空を超えてパラドックスの企みを止め、伝説のデュエリスト達と出会ったあの時からおかしくなったのだ。
あの時、何かあっただろうか。確かに時空を超えるというのは常識はずれだったがそんなことには慣れてしまっているし、気にしてはいない。
では他の理由があるはず。
ふと思い浮かぶのは、紅茶色の髪に琥珀色の目、明るくこちらまで元気になるような笑顔。
どくんと心臓が乱れ、胸が締め付けられる。

「遊城、十代…さん」

名前を呼ぶと更に心臓が忙しなく鳴って、苦しくなる。
だが嫌な感じではない。
この感情は何だろうか、今まで経験したことがない。

「会いたい…」

十代さんに会えばこの分からない感情が何なのか分かる気がする。
過去の人物に会うのは難しいが、不思議と十代さんとはまた会える気がしてならない。

「十代さん」

また会えたらこの名前のない気持ちに名前を。
いまだに乱れる鼓動を感じながら、そっと目を閉じた。



END

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