※恋の自覚は突然にの続き。
※学パロ。



「最近、遊星に避けられてる気がする」

唇を尖らせどこか拗ねたように言う十代に苦笑を浮かべる。

「そりゃそうだろ」

数日前の遊星の狼狽えっぷりを見れば、その後の反応も予想がつく。
男だと思っていて憧れていた先輩が実は女の子でした、なんて動揺して当然だし元々持っていた好意が別の形に変わるのも頷ける。

「ヨハンは知ってるのか?遊星が何で避けてるのか…」
「あー、知ってるっていうか…遊星は今青春真っ只中だからな」

うんうんと頷いて小さく笑うと十代は訳が分からないと首を捻る。

「まあその内何とかなるんじゃないか?」
「うーん…そっか」

こればかりは遊星自身の問題で遊星が自分のなかで折合いをつけないと普通に接することは出来ないだろう。
十代としては今までと同じく普通に話したり、デュエルしたり、勉強したりそんな風になりたいのだろうけど少し難しいだろうな、と小さく苦笑を浮かべた。



「ヨハンさん」

呼ばれ振り向けば、物凄く真剣な様子の遊星がいて首を傾げる。

「どうしたんだ?遊星」
「少し相談があるんですが…」
「相談?」

遊星ははい、と頷いて暫く考えてゆっくり口を開く。

「十代さんのことなんですが…」

ああ、なるほど。言いづらい訳だ。

「十代がどうしたんだ?」

取り敢えず遊星が話しやすいように水を向けるとやはり言いづらそうに続ける。

「最近、十代さんを避けてしまうんです」
「ああ、うん」
「何て言うか…どう接して良いか分からなくなってしまって」

深い溜め息を吐いて真剣にそう言う遊星に僅かに思案する。
こういった類いの相談は自分は不得手だ。ふとある人の顔が浮かぶ、彼ならこの手の相談に向いているだろう。

「遊星、吹雪さんに相談してみたらどうだ?」
「吹雪、さんですか?」
「俺さ、こういうの苦手だしな、吹雪さんは得意だと思うしきっと力になってくれるぜ!」

目を瞬かせる遊星の肩を力強く叩くとにっと笑う。

「吹雪さんに…」

遊星は僅かに考え込むとひとつ頷いて、こちらをじっと見つめ頭を下げる。

「分かりました、ありがとうございます、ヨハンさん!早速吹雪さんに相談してみます」
「おう、頑張れよ!」

吹雪さんを探しに向かう遊星に手を振り見送った。



遊星に吹雪さんに相談するようアドバイスしたのが二時間くらい前だろうか。
遊星の相談内容が何故か知り合い全員に知れ渡っていた。
もちろん、自分にもその話が回ってきた。

「あー…吹雪さんだな、こりゃ」

多分ノリノリで任せろとか何とか言って、知り合い全員に協力してくれるよう頼んだのだろう。
遊星の顔色が真っ青で何だか可哀想で苦笑を浮かべる。

「で、どうなったんだ?これは」

物凄く緊張している遊星を横目に近くにいた明日香に聞いてみると苦笑を浮かべ肩を竦める。

「兄さんが遊星の名前で十代を呼び出して告白させるみたいよ」
「うわぁ…流石」

場所は海岸。時間は夕方、海にオレンジの光が反射しキラキラ輝いていて凄く良い雰囲気だ。
十代はすでに来ていて、遊星を待っている。
十代には見えない辺りで皆で様子をうかがうことになった。

「さあ、遊星!行ってくるんだ!」
「うっ……はい…」

勢い良く遊星の背を叩いて目をキラキラさせていてる吹雪さん。
ノリノリだ。
遊星は先輩命令に逆らえずかなり緊張した様子で十代のもとへと向かっていく。

「十代、さん」
「お、遊星!話ってなんだ?」

首を傾げて見つめる十代に遊星の顔が赤に染まる。
雰囲気は良い、あとは遊星が告げればもしかしたら上手くいくのではないかと思う。

「あの、俺…」

意を決して口を開く遊星に十代は静かに待つ。
こちらも何だか緊張してきて、脈拍が速くなっていく。皆も息を詰めて二人の様子を見守っている。

「俺と…」

遂に遊星がその言葉を告げるのかと全員がごくりと喉をならす。

「っ…俺とデュエルして下さい!」

あの二人意外の全員が脱力した。
十代は凄く嬉しそうにおう、と頷いてにこにこと笑っている。
まあ、最近避けられていた遊星からのデュエルの誘いなんだから当然と言えば当然の反応。

「何だい、あのヘタレは!」

吹雪さんが物凄い表情で遊星を睨み付ける。
その様子に苦笑しつつ、嬉しそうにしてる十代を見て僅かに安堵する。やはり落ち込んでいるより笑っていた方が良い。
暫くは進展はしないであろう二人を陰ながら応援しようと決め、小さく笑った。

「(二人とも大事な友人だからな!)」



END

title:空をとぶ5つの方法
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